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チャレンジデー

中央競技団体現況調査 2020年度

新型コロナウイルス禍の中、東京オリンピック・パラリンピック後の更なる経営力強化が求められる

2 年に 1 度実施している『中央競技団体現況調査』の 2020年度調査結果を公開いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響を受け思い通りに活動が出来ない中、2020年東京オリンピック・パラリンピック後を見据え、普及と強化を進めなければならない中央競技団体について、「役職員構成」「登録競技者数」など、項目ごとに現況をまとめています。

POINT

1.役職員・および評議員

  • <男女比>男性役員 1,364人、女性役員251人で役員の 8割強が依然男性
  • <理 事>全役職員および評議員(4,126人)に対し、非常勤理事(1,310人)の割合が高い
    「女性役員が存在しない団体」の割合は2010年度44.3%、2012年度31.0%、2014年度19.1%、2016年度17.7%、2018年度11.1%、2020年度11.5%と減少傾向。

2. 新型コロナウイルス感染症の影響

① 経常収益の変化

新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業活動が制限された2020年4月~9月期における当初収支予算に対する経常収益の変化について、最も多かったのは「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」(44団体)で、全体の半数以上で大きな減収。

② 経常収益減少の要因

「主催・公認大会の自粛・延期・中止」が81.5%と最も高く、以下「登録競技者数の減少(61.5%)、「オフィシャル・スポンサー収入の減少」(52.3%)、「その他」(6.0%)の順

研究担当者コメント

「スポーツ団体ガバナンスコード」(2019)の遵守と公表が追い風となり、中央競技団体の組織運営体制の整備が進められている。特に役員の構成では、目標割合の設定とその具体策により女性役員の増加がみられる。恐らく、今年度に改選期を迎える団体では、更なる女性役員の登用が加速するだろう。多様性の確保の観点から、競技経験のみならず女性ならではの視点や経験が反映される組織運営が望まれる。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大は中央競技団体の経営に多大な影響を与えている。2020年度上半期における経常収益の変動をみると、回答団体の9割にあたる71団体が、大会等事業の自粛・延期・中止やそれに伴う登録競技者の減少、スポンサー契約の見直し等の要因により一定程度のマイナス影響があったと回答した。同感染症の収束の見通しが立たない中、断続的な制限が求められる事業活動を鑑みると、年間を通じてさらに大きな減益が生じる可能性があり、中央競技団体の厳しい経営状況が浮かび上がる。東京オリンピック大会後を見据え、収益力を高める経営強化や適正なガバナンスの確保など、中央競技団体の責務は拡大する一方だが、統轄団体をはじめとしたスポーツ界全体でこの難局を乗り越える施策や仕組みづくりに期待したい。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策ディレクター 吉田 智彦


主な調査結果 解説

1.役職員および評議員

団体の役職員および評議員について、「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」「評議員」「正規雇用者」「契約/嘱託職員」「出向」「派遣職員」「アルバイト」「インターン」および「その他」の分類で性別に人数をたずねた。78団体の役職員および評議員の合計は4,126人であり、このうち「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」(3役職を合わせて以下、役員とする)が1,615人、「評議員」が1,394人、役員および評議員を除いた職員等は1,117人であった(図表1)。

図表1 中央競技団体の雇用形態別人数(n=78)

(人)

種別 男性 女性
理事(常勤) 119 21 140
理事(非常勤) 1,100 210 1,310
監事 145 20 165
評議員 1,252 142 1,394
正規雇用者 395 269 664
契約/嘱託職員 107 79 186
出向 70 21 91
派遣職員 7 37 44
アルバイト 28 44 72
インターン 13 1 14
副業・兼業 30 7 37
その他 7 2 9
合計 3,273 853 4,126

役員の人数を全体(4,126人)に対する割合でみると、理事(常勤)が3.5%、理事(非常勤)が31.7%、監事が4.0%と、理事(非常勤)の割合が飛び抜けて高く、多くの理事(非常勤)が存在していることがわかる。性別にみると、男性役員の合計が1,364人であるのに対して女性役員は251人と、役員の84.5%が男性で占められている。

また、78団体のうち9団体(11.5%)では女性役員が存在せず、39団体(57.1%)では女性役員が2人以下であった。なお、分析対象としている団体が異なるため単純な比較は難しいが、女性役員が存在しない団体の割合は2010年度44.3%、2012年度31.0%、2014年度19.1%、2016年度17.7%、2018年度11.1%と減少傾向にある。

役員・評議員を除いた職員等の数は78団体で1,117人であり、1団体あたりの平均は14.3人である。前述の役員と同様に、回答団体が異なるため単純な比較は難しいが、2018年度調査の職員等902人から総数で215人の増加がみられた。人数の分布は0人から221人までその規模はさまざまである。職員等が存在しない団体(5団体)では、役員が職員の役割を兼務しているものと推察される。性別にみると、男性が657人(58.8%)、女性が460人(41.2%)であり、役員・評議員と比較すると女性の割合が高かった。

2. 新型コロナウイルス感染症の影響

①経常収益の変化

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業活動が制限された2020年4月~9月期における当初収支予算に対する経常収益の変化についてたずねた。最も多いのは「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」の44団体で、全体の半数以上が大きな減収があったと回答した(図1)。次いで「一部のマイナス影響が発生」が21団体、「今後、年度内にマイナス影響が発生する見込み」が6団体、「算定不可」が3団体であった。マイナス影響を受ける団体の割合が突出する一方、「変化なし」(3団体)、「プラス影響の発生・発生見込み」(2団体)と回答する団体もあった。

②経常収益の減少要因

「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」または「一部のマイナス影響が発生」と回答した65団体の経常収益減少の要因については、「主催・公認大会の自粛・延期・中止」が81.5%と最も高く、以下「登録競技者数の減少」(61.5%)、「オフィシャル・スポンサー収入の減少」(52.3%)、「その他」(6.0%)の順であった(図表3)。「その他」の要因には、「受取補助金の減少」「各種講習会等の中止に伴う参加料減収」などの回答が含まれる。

このうち、「主催・公認大会の自粛・延期・中止」において大会数の回答があった32団体をみると、自粛・延期・中止が1~10大会に及んだのは20団体にのぼり、11~20大会が6団体、21大会以上が6団体であった。最少は1大会(3団体)、最大は150大会(1団体)であった。「登録競技者数の減少」につき、おおよその減少割合を回答した27団体では、4割にあたる11団体で約20%もしくはそれ以下の減少があった。そのほか、約41~60%が9団体、約61~80%が4団体、約21~40%が3団体で、約80%を超えた減少割合を回答した団体はなかった。同様に「オフィシャル・スポンサー収入の減少」へ回答した19団体の減少割合をみると、7団体が約20%以下と回答した。続いて約41~60%が5団体、約21~40%および約81~100%がともに3団体ずつ、約61~80%が1団体であった。100%と回答する団体もあり、スポンサー収入の減少が厳しい状況にある。

■調査概要

調査名
中央競技団体現況調査
調査対象
(公財)日本オリンピック委員会、(公財)日本スポーツ協会、(特非)日本ワールドゲームズ協会に加盟、準加盟している中央競技団体90団体
調査項目
① 競技人口と登録制度について ② 役職員数について ③ 採用状況について④ 経営状況について ⑤ 収支予算について
調査期間
2020年10月~11月
調査協力
(公財)日本オリンピック委員会、(公財)日本スポーツ協会、(特非)日本ワールドゲームズ協会
発行
2021年3月
目次
テーマ

スポーツ・ガバナンス

キーワード
年度

2020年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者
共同研究者
  • 武藤 泰明 早稲田大学
    スポーツ科学学術院 教授
  • 三浦 一輝 常葉大学
    法学部 准教授