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家族とスポーツを「する」「みる」「話す」ことが、子どものスポーツへの関心を高めます

―アクティブな子どもを育むために、家庭では何から始めればよい?―

2022年10月24日

家族とスポーツを「する」「みる」「話す」ことが、子どものスポーツへの関心を高めます アクティブな子どもを育むために

はじめに

 子どもの健やかな成長を促すため、我が子にスポーツをやらせたいと思う親御さんは多いのではないでしょうか。一方、スポーツ庁の調査結果によると、コロナ禍の影響もあり数年前に比べて子どもたちの身体活動量や体力が低下してしまっていることが報告されています。世界保健機関(WHO)や日本スポーツ協会から発表された子どもの身体活動ガイドラインによると、いずれも1日に合計で60分以上の身体活動を行うことが推奨されています。身体活動とは運動あそびやスポーツはもちろん、例えば学校の登下校、散歩、自転車での移動なども含まれます。中でも、運動あそびなど身体を使って遊ぶ活動を中心に、毎日合計60分以上の身体活動量を確保することが、心身ともに元気な子どもを育むためのカギとなります。

 この「411歳のスポーツライフに関する調査2021」は、コロナ禍の影響により子どもの身体活動量や体力の低下が懸念された状況下で実施されました(202167月に調査実施)。さらに、コロナ過で子ども同士が群れて遊ぶことがままならない状況においては、家庭における生活行動が子どもの運動・スポーツ実施に大きな影響を及ぼすと考えられます。そこで本稿では、家庭における運動・スポーツに関する行動に注目し、具体的には子どもと家族が一緒に運動・スポーツを「する」「みる」「話す」ことが子どもの身体活動量に及ぼす影響について検討しました。

1.家庭における「する」「みる」「話す」と子どもの身体活動量

 図13は、運動・スポーツに関する家族との関わり(する・みる・話す)と子どもの身体活動量との関係を示しました。ここでは、運動・スポーツに関する家族との関わりについて、「よくしている」および「時々している」と回答した場合は「している」とし、「ほとんどしていない」および「まったくしていない」と回答した場合を「していない」として、子どもの運動・スポーツ実施時間との関係を分析しました。

 図1には、子どもが家族と一緒に運動・スポーツを「している」「していない」ことと子どもの運動・スポーツ実施時間との関連について示しました。ここでは「毎日合計60分以上」、すなわち1週間あたりで420分以上の運動・スポーツを実施している子どもの割合に注目してください。家族と一緒に運動・スポーツを「している」と回答した子どものうち17.7%が「毎日合計60分以上」の基準を達成しており、これは「していない」と回答した子ども(12.6%)よりも高い割合を示しました。つまり、家族と一緒に運動・スポーツを「している」子どもの方が、「していない」子どもよりも活動的であるという傾向がこの分析結果により確認されました。

 図2には、子どもが家族と一緒に「スポーツ観戦(テレビなどを含む)をする」(みる)、また図3には「運動やスポーツについての話をする」(話す)と子どもの運動・スポーツ実施時間との関連について示しました。家族とスポーツ観戦をしていると回答した子どもの28.6%が、また、運動やスポーツについての話をしていると回答した子どもの23.4%が「毎日合計60分以上」の基準に達しており、それぞれ「していない」と回答した子どもよりも高い割合が示されました。

 これらの分析結果から、普段から家族と一緒に運動・スポーツを「する」「みる」「話す」子どもは、子ども自身の身体活動量が高いということが確認され、運動・スポーツに関する家族との関わり(する、みる、話す)によって、子どもの身体活動量を高めることに繋がる可能性があると考えられます。

2.「する」「みる」「話す」の組み合わせと子どもの身体活動量

 図4には、子どもと家族が一緒に運動・スポーツを「する」「みる」「話す」ことと、子どもの身体活動量の関係を示しました。「する」「みる」「話す」の有無(〇「している」、×「していない」)について、それぞれの組み合わせにより8群(グループ)に分類し、子どもの運動・スポーツ実施時間との関係性を分析しました。

 「する」「みる」「話す」のいずれも行っていたグループにおける運動・スポーツ実施時間が8群のなかで最も高く、その平均値は一週間あたりで374.7でした。これは想像に難くない結果と思われますが、興味深いことに、家族と運動・スポーツについて話をしているグループの運動・スポーツ実施時間はいずれも全体の平均値(247.5分)よりも高いという結果が得られました。これにより、子どもと家族が一緒に運動・スポーツについて「話す」ことと子どもの運動・スポーツ実施とは特に強い関連をもつと考えられます。

 日本スポーツ少年団では、スポーツ少年団などの組織化されたスポーツ活動の目安として、「1日あたり23時間程度、1週間に23日」が、無理のない活動としています。この目安は、スポーツ少年団で活動する子どもにとって、身体的、精神的に過度な負担がなく、意欲をもって参加できる活動量として推奨しています。この基準にもとづくと、一週間あたりで240540分間が推奨される活動量となり、今回の分析結果から、少なくとも子どもと家族が運動・スポーツに関する会話の機会をもつことで、この推奨量が確保されていることとなります。

 

まとめ

 過去に文部科学省が実施した調査によると、家族と運動・スポーツを「する」「みる」「話す」のいずれも頻度が高い子どもは、身体活動量と体力が高いという傾向が示されました。さらに、このうち「話す」が子どもの運動・スポーツに対して最も強い影響を与えていると報告されています。今回の分析結果も同様の傾向が確認され、家庭における生活行動が、子どもの運動・スポーツ実施に大きな影響を及ぼすことが示されました。家庭で無理なく続けられる取り組みとして、まずは、子どもと運動・スポーツについて話すことから始めてはいかがでしょうか。実は、この普段の会話こそ、子どもの運動・スポーツへの関心を高め、子どもの運動・スポーツ実施を促すことに繋がると思われます。

 

※ スポーツ少年団活動の目安:1日あたり23時間程度、1週間に23日が、無理のない活動としている。この目安は、スポーツ少年団で活動する子どもにとって、身体的、精神的に過度な負担がなく、意欲をもって参加できる活動量として、日本スポーツ少年団によって推奨されている。

公益財団法人日本スポーツ協会 スポーツ科学研究室 室長代理 青野 博

<引用文献>

・笹川スポーツ財団(2021)子ども・青少年のスポーツライフデータ2021

・スポーツ庁(2015)平成27年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書

・スポーツ庁(2021)令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書

・世界保健機関(WHO)(2010)Global Recommendations on Physical Activity for Health

・日本スポーツ協会日本スポーツ少年団(2022)公認スタートコーチ(スポーツ少年団)専門科目テキスト

・日本体育協会(現日本スポーツ協会)(2010)アクティブ・チャイルド60min─子どもの身体活動ガイドライン─. サンライフ企画

・文部科学省(2010)平成22年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書

・文部科学省(2012)幼児期運動指針ガイドブック

  • 青野 博 公益財団法人 日本スポーツ協会 スポーツ科学研究室 室長代理/SSFスポーツライフ調査委員
    専門分野:運動生理学
    アクティブ チャイルド プログラム普及・啓発、運動適性テスト(子どもを対象とするスポーツテスト)に関する検討、フィジカルリテラシー評価尺度の開発など、主にジュニアスポーツに関わる研究と実践に取り組む。
    日本スポーツ振興センター(JSC)、独立行政法人国際協力機構(JICA)、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)、笹川スポーツ財団(SSF)など関係機関との連携事業にも関わる。
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活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴をの把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2022年度

担当研究者
  • 青野 博 公益財団法人日本スポーツ協会 スポーツ科学研究室 室長代理