Search
国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

知る学ぶ
Knowledge

日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツボランティアとは?スポーツボランティアの種類と実施状況

スポーツボランティアとは

スポーツボランティアは、「地域におけるスポーツクラブやスポーツ団体において、報酬を目的としないで、クラブ・団体の運営や指導活動を日常的に支えたり、また、国際競技大会や地域スポーツ大会などにおいて、専門的能力や時間などを進んで提供し、大会の運営を支える人のこと」と定義されています(2000、文部省(現・文部科学省))。

スポーツボランティアの分類

スポーツボランティア活動は多岐にわたり、役割とその範囲から、大きく三つに分類することができる。不定期的な「イベントボランティア」、定期的な「クラブ・団体ボランティア」、トップアスリートやプロスポーツ選手による「アスリートボランティア」である。

イベントボランティア/地域スポーツ大会、国際・全国スポーツ大会

イベントボランティアは、地域における市民マラソン大会や運動会、更には国民体育大会(国体)やオリンピックやラグビーW杯などのような国際大会を支えるボランティアを指しています。非日常的・不定期的活動となります。

■専門ボランティア(専門的な知識や技術が必要)
審判員/通訳/医療救護員/データ処理/大会役員など

■一般ボランティア(誰にでも容易に関わることができる)
給水・給食/案内・受付/記録・掲示/交通整理/運搬・運転/ホストファミリー(選手の滞在・訪問の受入)など

市民マラソン大会の例で見ると、受付や給水、コース整理などのほかに、視覚障害者のランナーをサポートする伴走ボランティアランナーといった活動もあります。

クラブ・団体ボランティア/クラブ・スポーツ団体

クラブ・団体ボランティアは、地域スポーツクラブやスポーツ団体におけるボランティアを指しています。日常的・定期的活動となります。

■ボランティア指導者
監督・コーチ/指導アシスタントなど

■運営ボランティア
クラブ役員・監事/世話係/運搬・運転/広報/データ処理/競技団体役員など

アスリートボランティア

アスリートボランティアは、現役・OBのプロスポーツ選手やトップアスリートによるボランティア活動で、オフシーズンに福祉施設を訪ねたり、ジュニアのスポーツ指導や地域のイベントに参加するなどの社会貢献活動が挙げられます。

プロ野球選手やプロサッカー選手の活動はもとより、最近では様々な種目のトップアスリートが集まってNPO法人などを組織し、活動するケースが増えています。2011年の東日本大震災の発生以降は、組織、個人に関わらず、多くのアスリートが被災地に出向き、復興支援にボランティアとして携わる活動が増えました。

■トップアスリート・プロスポーツ選手
ジュニアの指導/施設訪問/地域イベントへの参加など

スポーツボランティアの種類

過去1年間(2019年)にスポーツボランティア活動を「行った」者(スポーツボランティア実施者)と、「以前に行ったことがあるが、過去1年間は行っていない」者(スポーツボランティア過去経験者)に、具体的な活動内容をたずねました。

スポーツボランティア実施者が過去 1 年間に行った活動で最も多かったのは、「【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話」が 40.8%でした。以下、「【日常的な活動】スポーツの指導」(33.2%)、「【日常的な活動】団体・クラブの運営や世話」(26.0%)の順となっています。

スポーツボランティア活動の平均実施回数をみると、最も多いのは、「【日常的な活動】スポーツの指導」の 17.0 回で、以下、「【日常的な活動】団体・クラブの運営や世話」(11.0 回)、「【日常的な活動】スポーツの審判」(7.4 回)が続きます。実施者が最も多かった「【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話」は 3.0 回、「【全国・国際的スポーツイベント】大会・イベントの運営や世話」は 2.3 回であり、スポーツイベントのボランティアは、多くの人にとって、年1~数回の限られた機会であることがわかります。

▼「スポーツボランティアに関する調査2019」 報告書(PDF/P5)

表:スポーツボランティアの活動内容(種類)と実施状況
ボランティア活動の内容 スポーツボランティア実施者
過去1年間に
行った活動
平均実施回数
N=546
【日常的な活動】スポーツの指導 33.2% 17.0回
【日常的な活動】スポーツの審判 18.7% 7.4回
【日常的な活動】団体・クラブの運営や世話 26.0% 11.0回
【日常的な活動】スポーツ施設の管理の手伝い 19.8% 6.6回
【地域のスポーツイベント】スポーツの審判 13.7% 4.9回
【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話 40.8% 3.0回
【全国・国際的スポーツイベント】スポーツの審判 2.7% 4.5回
【全国・国際的スポーツイベント】大会・イベントの運営や世話 13.4% 2.3回
その他 2.6% 4.1回

スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティア実施状況

過去1年間のボランティア実施状況

過去1年間のボランティア実施状況(2019)についてみると、「スポーツボランティアのみ実施」は1.4%という結果でした。「スポーツ以外のボランティアを実施」が 17.7%、「スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティアの両方を実施」が 4.0%であることから、スポーツボランティア実施者の多くが、スポーツ以外のボランティアと「掛け持ち」して活動していることがわかります。

▼「スポーツボランティアに関する調査2019」報告書(PDF/P9)

スポーツボランティアのきっかけ

スポーツボランティア活動の経緯

スポーツボランティア実施者と過去経験者に対し、スポーツボランティア活動の経緯をたずねました。最も多かったのは「地域のグループから頼まれて行った」の 30.2%で、以下、「職場や学校のグループから頼まれて行った」(20.7%)、「自ら応募・立候補して自主的に行った」(18.2%)などの順となっています。

スポーツボランティア実施者と過去経験者の約 8 割が、何らかの組織・団体、グループや友人・知人からの依頼を受けてスポーツボランティア活動を行っていることが読み取れます。

▼「スポーツボランティアに関する調査2019」報告書(PDF/P13)

過去 1 年間にスポーツボランティアを実施した者は全体の 5.5%で、前回の調査(5.3%)とほぼ同様の結果となりました。スポーツボランティア実施者を、スポーツ以外のボランティアの実施有無別にみると、スポーツボランティアのみを行っている者は約 1/4 であり、多くはスポーツ以外のボランティア活動も行っていたことが明らかとなりました。

自治会や PTA、青少年育成団体のイベントやそのプログラムの一部としてスポーツは広く行われており、他の分野のボランティア活動とスポーツとのこうした親和性が、スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティアの「掛け持ち」の多さに影響していると考えられます。