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SSFが振り返る2017年重大ニュース

1. スポーツ庁「第2期スポーツ基本計画」が始動

スポーツ庁は3月、2017年度から5年間のスポーツ施策の指針「第2期スポーツ基本計画」を策定し、4月1日からスタートした。同計画は「一億総スポーツ社会」を掲げ、スポーツにより「人生が変わる」「社会を変える」「世界とつながる」「未来を創る」の4本の柱を基本指針としている。 具体的には、「スポーツ参画人口の拡大」「国際競技力の向上」「クリーンでフェアなスポーツの推進」「スポーツを通じた活力があり絆の強い社会」の実現を目指して詳細な議論が進められている。これらを通じて健康増進や女性の活躍、経済・地域活性化、国際貢献などに取り組むことになる。

<SSFの取り組み>

第2期スポーツ基本計画に向け、「政策提言2017」を発表

SSFは第2期スポーツ基本計画策定議論に参画し、2月に「政策提言2017」を発表した。 これまでも同庁スポーツ審議会メンバーである当財団理事長の渡邉一利を通じ、スポーツ基本計画部会による関係団体ヒアリングへの出席や、意見提出などをしてきた。今回SSFでは第2期スポーツ基本計画策定議論に向け、「スポーツ・フォー・エブリワン」社会を実現するために「地域スポーツ」「子どものスポーツ」「スポーツの場」「障害者スポーツ」の4テーマにおける政策提言を取りまとめた。

2. 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け準備進む

2020年東京オリンピック・パラリンピックまで1000日を切り、各地で準備が進んでいる。全種目が決定し、3人制バスケットボールなどの新種目が追加されたほか、柔道の男女混合団体戦などこれまでにない実施方法の採用が注目された。また、全国で「ホストタウン」として、各国選手団の事前合宿の受け入れ先が続々と決まってきた。大会の金・銀・銅メダルを「都市鉱山」の活用によって製作するとして、全国で電子機器の回収も進んでいる。
また今年は、東京大会の次に開催される都市も2大会同時に決定したことも記憶に新しい。2024年はパリ、2028年はロサンゼルスで開催されることとなった。

<SSFの取り組み>

オリ・パラを機に、スポーツ・フォー・オール振興を

11月、韓国・ソウルで国際スポーツ・フォー・オール協議会(TAFISA)による「第25回TAFISAワールドコングレス2017」が開かれ、SSFもTAFISA-JAPAN(日本におけるTAFISA加盟団体)の一員として参加した。同大会はスポーツ・フォー・オールムーブメントの推進を目的とするTAFISAとホスト国の組織委員会によって2年に一度開かれ、世界中のスポーツ振興組織関係者が集い、各国の事例紹介や有識者によるシンポジウムなどがおこなわれる。次回大会は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの前年(2019年)に東京で開催されることが決まっている。同年のラグビーワールドカップ2019も含め、内外のスポーツへの関心が日本に集中する時期の開催ということもあり、すべての人がスポーツを楽しめる環境づくりへの認知向上に役立てたい。

3. パラリンピックを契機に障害者スポーツ振興に追い風

2020年東京パラリンピックへの機運に乗り、障害者スポーツへの認知度が向上しつつある。 障害者スポーツ体験イベントが全国各地で開かれたほか、学校教育現場でも取り入れられている。また、各種目への企業スポンサーも増えてきており、普及や選手強化に期待がかかる。

<SSFの取り組み>

障害者スポーツに関する調査結果を報告

SSFでは障害者スポーツ振興についての調査研究をしており、今年度も複数の研究成果を発表した。 国内の障害者スポーツ環境に関する調査では、市区町村で障害者スポーツを担当する部局が、「障害福祉・社会福祉関連部署」から「スポーツ担当部署」に移行しつつある現状などが明らかになった。
また、海外の障害者スポーツ環境調査では、パラリンピック開催経験国であるイギリス・カナダ・オーストラリアの3ヵ国を調査。3ヵ国とも大会に先立って「差別禁止法」など各種政策を整備していたことや、医療機関・当事者団体・障害者スポーツ団体の「組織間連携」が進められていたことなどが明らかになった。

4. 次世代選手が大健闘

各競技で若手選手が大健闘した。卓球では世界の最年少記録を塗り替えていった張本智和選手の活躍が記憶に新しい。また、フィギュアスケートの一時代を築いた浅田真央元選手が4月に競技選手としての引退を発表したが、スター選手の引退後も田中刑事選手や坂本花織選手など若手選手の躍進が続いている。

<SSFの取り組み>

子どものスポーツ活動について多様に調査


SSFでは、日本のスポーツの未来を担う子どものスポーツ活動についてさまざまな調査を実施した。
子どものスポーツ活動環境について、保護者へのアンケート調査をしたところ、母親は子どものスポーツ活動にやりがいを感じている一方で、負担を理由にスポーツ活動に関われない家庭もある現状が明らかになった。
また、2年に1度発行している「子ども・青少年のスポーツライフ・データ」による子どもの好きなスポーツ選手の調査では、前回調査に引き続き錦織圭選手がトップとなったほか、男子の好きなスポーツ選手の競技が多様化している傾向や、上位にクリスティアーノ・ロナウドなど海外の選手が増えている傾向などが分かった。

5. オリンピック・パラリンピック、NCAA議論で存在感が増す大学

東京オリンピック・パラリンピックに向けて組織委員会や関連団体と各大学との連携が進む中で、今年は大学スポーツで収益化を図る「日本版NCAA」の創設議論も始まり、大学の果たす役割に期待がますます高まった。 組織委では、連携協定を締結した大学における大会全般や障害者への理解を促す講義や研究、地域スポーツ大会へのボランティア派遣などに取り組んでいる。 今年、米国の大学スポーツを統括する全米大学体育協会(NCAA)をモデルに、大学スポーツ全体を組織化し収益化を図る「日本版NCAA」の創設に向けた議論が始まった。大学が日本のスポーツ産業の一翼を担うことへの期待が高まっている。

<SSFの取り組み>

ボランティア講義、政策提言大会などで大学と連携


SSFは、2020年東京大会のボランティア人材育成のため、日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)と共に早稲田大学、亜細亜大学でスポーツボランティアの授業を開講した。2年前に開講した順天堂大学、産業能率大学でも引き続き実施している。特に今年開講した早稲田大学では、ボランティア教育の需要が高まっていることを背景に、講義を撮影し、講義映像を各所のボランティア教育に活用する新たな試みに着手した。 大学との連携においては、10月に大学3年生が日本のスポーツについて政策提言発表する大会「Sport Policy for Japan」を開催。スポーツ実施率向上などに向けた斬新なアイデアが多数発表された。

また、SSF海外研究員が日本版NCAAの議論において欠かせない、本場NCAAについての調査も実施しており、SSFのWebサイト上でレポートを公開している。

SSFが振り返る2017年総括「スポーツ政策が大きく前進」

  2017年を総括するとスポーツ政策が大きく前進した1年だったと言える。そのけん引役を務めたのがスポーツ庁である。発足から2年がたち、スポーツ政策においてより強いリーダーシップを発揮し始めたと言える。

  スポーツ庁は3月、第2期スポーツ基本計画(以下、基本計画)を発表した。基本計画には「スポーツで人生が変わる」「スポーツで社会を変える」「スポーツで世界とつながる」「スポーツで未来を創る」という4つの柱を掲げ、そこにひもづく政策の目標を掲げた。国が取り組むべきこと、地方自治体がすべきこと、スポーツ団体のすること、すべてが明確になり、あとは具体的な行動に移すという段階に入った。

  競技力という視点で見れば、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、国際的な競技大会の招致が進んだことは、その向上に大いに貢献したのではないかと思われる。各競技団体の選手発掘、育成強化、積極的な国際大会への出場が進み、卓球やバドミントン、フェンシング、冬季のスピードスケートなどは目覚ましい成果を上げている。政策的に見れば、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターのサポートが、ようやく結実してきたと言えるだろう。

  一方で、少子高齢化、共生社会の実現など、さまざまな社会課題を解決する上で、スポーツの果たす重要性はますます高まっている。基本計画でも「スポーツの価値」を大いに意識し、健康長寿社会、障害者が参画できる社会、地域の人々が支え合う社会づくりに、スポーツの価値を結び付けていくことが明示されている。

  パラリンピックに関しては、各企業のパラアスリートへの支援に拍車がかかり、認知度が飛躍的に向上した。こうした動きがパラアスリートだけでなく、障害者の社会参加につながりつつあることも見逃せない。

  スポーツボランティアへの関心も高まりつつある。2020年東京大会のスポンサー企業はもちろん、全国の大学や自治体などでもスポーツボランティア研修会が開催されており、2019年から続く国際競技大会での活躍が期待される。

  このようにスポーツの価値が高まる一方で、それに水を差すように、大相撲の暴力問題、ロシアが国としての平昌冬季オリンピック・パラリンピックに出場できなくなったドーピング問題など、スポーツの価値を損ねるような出来事も2017年には起きた。スポーツのインテグリティ(高潔性)を守る努力については、関係者がより一層意識していくべきところである。

  冒頭でも述べた基本計画では、国民の週1回のスポーツ実施率を現在の42.5%から65%まで上げるという高い目標を掲げた。実数で言うと約2,000万人の増加であり、これは簡単な数字ではない。ポイントは地域の中でスポーツにより身近に親しめる環境をいかにつくっていくのか。2018年はスポーツ基本法に掲げられた理念をより具体的に進める1年となるだろう。

笹川スポーツ財団 理事長 渡邉一利

笹川スポーツ財団 理事長
渡邉一利

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陸上100m 夢の9秒台記録誕生から組織のガバナンスが問われる事件まで 多くの出来事があった2017年の日本のスポーツ。 皆さんの心に残ったニュースは、何でしょうか。 ぜひ、皆さんの声をお聞かせください。複数回答可

 










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