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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

セミナー「子供のスポーツ」

オリンピック初のバーチャルスポーツ大会「オリンピック・バーチャルシリーズ」開催

国際オリンピック委員会(IOC)は4月、実体験のスポーツとバーチャルスポーツを同時に楽しめるオリンピック・バーチャルシリーズ(OVS)のスタートを発表した。大会は既に513日に始まり、期間は623日までとなっている。OVSって何? いったいどうやったら参加できるの? そう思うあなたにオリンピック初のデジタル・コンテンツ、OVSを紹介しよう。

 IOC2020年に「オリンピック・アジェンダ20205」を発表した。多くの新しい取り組みが明記された中でも画期的だったのは、実体験するスポーツだけでなく、疑似体験(バーチャル)によるスポーツの発展をうたったところだろう。これを受けて世界中のバーチャルスポーツ、eスポーツ、ゲーム愛好家に対し、より広くオリンピックに関心を持ってもらおうと企画されたのがOVSなのだ。

 IOCのトーマス・バッハ会長は「オリンピック・バーチャルシリーズは、バーチャルスポーツの分野で新たな視聴者と直接的な関わりを深めることを目的とした、まったく新しいオリンピックのデジタル体験です」とOVSの斬新さをアピールした。デジタル戦略というだけあり、オリンピック離れが進んでいる若者たちへのアプローチを大いに意識していることは言うまでもない。

 IOCOVSを実現するために、競技団体と業界をリードするゲーム制作会社の協力を得てコンテンツ作りに取り組んだ。その競技とは野球、自転車、ボート、セーリング(ヨット)、自動車の5つ。これらのコンテンツを通してバーチャルシリーズを楽しんでもらおうというわけだ。

 たとえば野球は日本でもお馴染みの人気野球ゲーム「パワフルプロ野球」をOVS用にデザインした。PlayStation®4またはNintendo Switch、そして「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」を持っている人が国境を越え、オリンピックという舞台でバーチャルに野球を楽しむ。

 自動車はこちらも知る人の多い自動車ゲームソフト「グランツーリスモ」を使ってバーチャルレースを体験できる。東京の街を舞台に首都高速をイメージしたコースを超高速で駆け抜けて参加者同士でタイムを競うという内容だ。

 自転車の場合は自前の自転車とスマホなどのデバイスを使って参加する。実際に街に出てサイクリングをするのではなく、バーチャルの世界でサイクリングを体験するというコンセプトだ。世界中の愛好家とトレーニングをしながら、同時に交流を深めることもできるという。

 今回は競技数も5つと少なく、ゲーム用のコントローラーを持っていないと参加できなかったり、対象となる参加国が限られていたりと、現時点であまねくすべての人が楽しめるというわけではない。ただ、先のバッハ会長の発言からも分かるように、IOCは新たな市場の開拓に強い熱意を持っており、その一つとしてOVSが立ち上がった。今後はよりパワーアップしたシリーズになることが期待される。

渋谷淳 (スポーツライター)



(公式)オリンピック・バーチャルシリーズ
    - 知っておきたいことと楽しみ方

https://olympics.com/ja/featured-news/olympic-virtual-series-2021-things-to-know