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あなたが選ぶ!2020年 スポーツ重大ニュース

笹川スポーツ財団(SSF)では、2020年12月9日~12月18日に、「あなたが選ぶ!2020年スポーツ重大ニュース」のWEBアンケートを実施しました。ご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

あなたが選ぶ 2020年 スポーツ重大ニュース 投票結果

1 位  【オリンピック】2020年東京オリンピック、1年延期し来年7月23日開幕に。パラリンピックは8月24日開幕。
2 位  【高校野球】新型コロナウイルスにより、春・夏の甲子園がともに史上初の中止に。
3 位  【競泳】白血病で長期療養していた池江璃花子がレースに復帰。
4 位  【フィギュアスケート】羽生結弦、四大陸選手権で優勝し、男子初のスーパースラム達成。
5 位  【陸上】大迫傑、東京マラソンで日本新記録を更新。
6 位  【スポーツ政策】4月7日、史上初の緊急事態宣言が出され、ほとんどのスポーツイベントが中止に。
7 位  【テニス】大坂なおみ、全米オープンで2年ぶりに優勝。ブラック・ライブズ・マター運動への積極参加。
8 位  【ラグビー】ラグビー・トップリーグ開幕、トップリーグ史上最多入場者数を更新。
9 位  【オリンピック】聖火リレーが中止。点火式のみアテネで実施。
10位 【スポーツ政策】JOC山下泰裕会長、IOC委員に選出される。日本人では通算15人目。

1. 希望にあふれたスタート

2020年東京オリンピック・パラリンピック開幕を前に、東日本大震災および熊本地震被災県の木材を一部使用した国立競技場をはじめ、オリンピック会場となる競技施設が続々整備され、復興五輪の機運が一挙に高まった。
加えて、フィギュアスケーターの羽生結弦が四大陸選手権で優勝し、ジュニアおよびシニアの主要国際大会を完全制覇する「スーパースラム」を男子で初めて達成。祝祭ムードに花を添えた。

羽生結弦が四大陸選手権で優勝し、「スーパースラム」を男子で初めて達成。

羽生結弦が四大陸選手権で優勝し、「スーパースラム」を男子で初めて達成。 写真:フォート・キシモト

2. 新型コロナウイルスが世界中で拡大、スポーツ界にも多大なる影響

2月3日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での新型コロナウイルス感染者発生が報道されたことで、国内の緊張が高まりをみせた。2月21日には韓国、イタリア、イラン等での感染拡大も報道され、事態を重くみたJリーグは2月25日に試合延期を決定。その後3月11日には日本高等学校野球連盟と毎日新聞社が「第92回選抜高校野球大会」の開催を中止。同月24日には2020年東京オリンピック・パラリンピックが延期され、聖火リレーも中止された。その後も状況は安定せず、5月20日には8月10日開幕予定であった「第102回全国高等学校野球選手権大会」の中止が決定、史上初の甲子園大会春夏連続中止となった。
例年SSFと自治体で共催しているチャレンジデーも、「三密」による感染リスク回避のため通常のかたちでの実施は不可能となり、代わりに、動画配信による「おうちチャレンジデー(うちチャレ)」が実施されることとなった。

3. 新型コロナウイルスの影響により、日常生活が大きく変化

新型コロナウイルス感染拡大により、多くの国々では何らかのかたちで、プロ・アスリート以外の人々に対しても運動・スポーツ活動に制限が設けられ、日本でも多くのスポーツ施設が閉鎖や休業を余儀なくされた。そうしたなか、さまざまなアスリートが、「stay home」の呼びかけとともに家でもできるストレッチやトレーニングの紹介動画を公開し、運動部活動の休止で練習の機会をもてない青少年の不安緩和と人々の運動不足解消に寄与した。
SSFでは初の試み「おうちチャレンジデー(うちチャレ)」を実施、手軽で健康維持に効果的な運動プログラムの動画配信を行った。

4. 閉塞感を打ち破るのも、また「スポーツの力」

BLM運動への賛同をマスクで表明し、全米オープン女子シングルスに優勝した大坂なおみ

BLMへの賛同を表明し、全米オープン女子シングルスに優勝した大坂なおみ 写真:共同通信社

東京マラソン2020においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一般ランナーの部が中止となり、ジョージ・フロイド事件をきっかけに国や人種を越え世界中に広まったブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動においては、社会に潜在していた分断も同時に露呈するなど、2020年は息苦しさを感じさせる出来事が相次いだ。
一方で、スポーツ界ではそうした閉塞感を拭い去るニュースもあった。同マラソン大会のエリートの部では大迫傑が日本新記録を達成し、テニスの全米オープン女子シングルスでは、ハイチ共和国出身の父をもつ大坂なおみが黒人差別への抗議活動を続けながら優勝を果たした。

池江璃花子

池江璃花子が1年7カ月ぶりに東京都特別水泳大会で復帰。写真:フォートキシモト

また、白血病で長期療養していた池江璃花子は、1年7カ月ぶりの実戦復帰となる東京都特別水泳大会(女子50メートル自由形)で健闘。病気に苦しむ人々を勇気づけ、国民に希望を与えた。

5. 新しい生活様式のもと、変化するスポーツ活動

新型コロナウイルス感染拡大の第1波が収まりの兆しをみせるなか、日本政府は5月25日に緊急事態宣言を全面解除。6月2日にはプロ野球が、6月27日にはJリーグが無観客で、7月10日にはプロ野球、Jリーグがともに有観客で試合を再開するなど、適切な対策をとったうえでのスポーツ大会が徐々に開催されるようになった。こうした状況を受け、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、2021年に開催が予定されている東京オリンピックについて「競技場に観客を入れる確信を持つことができた」と自信を口にした。
このように、プロ・アスリートの競技実施状況については推移が明らかになっているが、SSFでは、一般の人々の運動・スポーツ実施状況についても経時的変化の追跡が必要と考え、「新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査」をすでに二度にわたり実施。今後も継続を予定している。

2020を振りかえる

産経新聞客員論説委員、尚美学園大学スポーツマネジメント学部教授 笹川スポーツ財団理事 佐野 慎輔

年初、中国の武漢市に端を発した新型コロナウイルスは瞬く間に世界各地に蔓延。年末を迎えたいまも終息の糸口すらみえない。1年延期された東京オリンピック・パラリンピックは本当に開催できるのか、いや開催していいのか、そんな声も少なくない。

世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的流行)」を宣言したのは3月11日。翌12日、2020年東京オリンピックの聖火がギリシャのオリンピアで採火された。本来はここからオリンピックが始まる。しかしギリシャでのリレーは中止。空路、日本に運ばれた聖火は国内スタート地、福島に留め置かれた。抗いきれない状況下で安倍晋三首相が主導し国際オリンピック委員会(IOC)と日本国政府、東京都、組織委員会が1年延期で合意したのが24日。6日後、オリンピックは来年7月23日、パラリンピックは8月24日開会式と決まった。

開催へ、明確な道筋が見えていたわけではない。1896年の第1回アテネ大会以来、戦争による3度(1916、40、48年)の中止を除いて4年ごとに開いてきた地上最大のイベントを止めてはならない、その思いが「史上初の延期」を選択させた。

その後も開催が疑問視されるなか、IOCのトーマス・バッハ会長がコロナ後初めて訪日したのは11月中旬。バッハ氏は「人類の連帯と結束力を示すシンボル」と開催意義を強調、実現へ決意を示した。これを機に開催に向けた動きが表面化。12月初頭、中間報告ながら「コロナ対策調整会議」が選手の行動などコロナ対策の大枠を示し、追加経費は2940億円との見通しのもと国、都、組織委員会の経費分担も決めた。同時に選手選考も活発化、柔道代表で唯一残っていた男子66キロ級の代表決定戦は24分間の壮絶な闘いとなり、阿部一二三が1年越しに代表の座を勝ち取った。しかし、感染者数も上昇していったのである。

Jリーグの無観客試合

Jリーグの無観客試合 写真:フォート・キシモト

コロナ禍でスポーツイベントが次々中止されるなか、プロ野球、サッカーのJリーグや大相撲などは開幕時期を大幅に遅らせ、当初は無観客試合開催。その後5000人規模、さらに2万人か収容人員の半数かという入場制限で実施された。6月19日開幕のプロ野球は各球団120試合を消化、日本シリーズはパ・リーグの覇者ソフトバンクがセ・リーグの王者巨人を2年連続4連勝で下し4年連続11回目の日本一に輝いた。

3月に1度は開幕したJ1リーグは長い中断を経て7月4日に再開。11月25日に川崎フロンターレが2年ぶり3度目の優勝決定後も12月19日までリーグ戦が続いた。大相撲は5月場所を中止、7月場所を名古屋から東京に開催地を変えて実施した。苦難の年となったが、朝乃山、正代ふたりの大関が誕生、コロナ禍における慶事もあった。

プロ野球とJリーグはSNSを効果的に使った観戦方法を導入し、コロナ対策で合同会議を行うなど今後のスポーツ界に新たな指針が示している。そして高校野球は春、夏の甲子園大会が相次ぎ中止されたが、日本高校野球連盟が球児、とくに3年生に「思い出づくり」のための地方大会開催を決断。全国49地区で熱戦が続いた。また8月には選抜大会出場予定校による交流試合が甲子園球場で開かれ、球児には何よりの贈り物となった。

特筆すべきは女子テニスの大坂なおみ。2年ぶり2度目の優勝を飾った全米オープンで7試合、7人の殺害された黒人の名をいれた黒いマスクを着用。黒人差別の実態への理解を求めた。「私はアスリートである前に1人の黒人女性です」との言葉が共感をよんだ。

来年、コロナ禍から解放されて「United by Emotion」のモットーのもと東京大会は開催できるのか。人類とスポーツのあり方を考える大会にしたい。

コロナ収束後のスポーツ推進に向けて

笹川スポーツ財団 シニア政策アナリスト 澁谷 茂樹

2020年は、スポーツ界も新型コロナウイルスに振り回された1年でした。感染が広がり始めた2~5月にかけて、選抜高校野球の中止(3/11)、東京2020大会の延期(3/24)、学校への休業要請と緊急事態宣言(4/7)による公共・学校・民間スポーツ施設の休業・閉鎖など、あらゆる活動が止まりました。宣言解除後、各所で徐々に活動が再開してきたものの、競技大会・イベントの規模縮小や中止、プロスポーツの無観客開催や入場制限などが続いており、スポーツの普及や育成、強化の停滞が懸念されます。

SSFの事業も大きな影響を受けました。5月のチャレンジデーは中止となり、子どもや障害者のスポーツ現場での研究にも遅れが生じています。そんな中、成人が対象の「スポーツライフに関する調査」は、感染が落ち着いた時期に全国調査を終え、年度末の報告書刊行に向けて作業を進めています。また、「中央競技団体現況調査」は、感染拡大の第3波の前に実施し、例年どおり多くの団体のご回答をいただくことができました。

2021年は、新型コロナウイルスが収束に向かう1年になると思います。東京オリンピック・パラリンピックが予定どおり開催されることに期待しながら、「ポストコロナ」「ポストオリンピック・パラリンピック」時代のスポーツ推進に必要な調査研究を計画、実行していく所存です。関係する皆さまには、引き続きご協力いただければ幸いです。

調査概要

調査方法
インターネット調査
調査時期
2020年12月9日~12月18日
有効回答数
3559票