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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

宮城県角田市:スポーツネットワークかくだ(スポネットかくだ) アクティブシティの実現

新たな地域スポーツプラットフォーム「地域スポーツ運営組織(RSMO)」

“スポネットかくだ”の運営プラットフォーム「地域スポーツ運営組織(RSMO)」とは?

地域スポーツ運営組織(RSMO)形成イメージ

地域スポーツ運営組織(RSMO)形成イメージ

SSFではスポーツを核とした地域活性化を推進するために、地域の主要既存スポーツ推進団体を母体とする新たな地域スポーツプラットフォーム「地域スポーツ運営組織(Regional Sport Management Organization; RSMO)」の形成を提言しました。少子高齢化、人口減少で地域スポーツ振興の停滞が危惧されるなか、既存スポーツ推進団体(体育協会、スポーツ推進委員、公共スポーツ施設指定管理者、総合型クラブ、大学、スポーツ団体など)を一元化することで、地域スポーツの課題である「ヒト・モノ・カネ・情報」を集約し、持続可能な地域スポーツの環境整備を目指します。

地域スポーツ運営組織(RSMO)形成に向けた実践研究

政策提言(地域スポーツ)

スポーツネットワークかくだ(スポネットかくだ)概要

スポネットかくだ・将来ビジョン

設立の経緯と目的

協定式(2019年4月23日)

協定式(2019年4月23日)

2016年より角田市は、道の駅を「賑わいの交流拠点施設」と位置づけ、隣接する角田中央公園などのスポーツ施設群(かくだスポーツビレッジ(Kスポ)2018年名称決定)を活かし、ヘルスツーリズム・スポーツツーリズムを目指します。SSFは同年よりスポーツ政策に関する助言等を行い、角田市との協力体制を継続して構築してきました。

国の第2期スポーツ基本計画が策定(2017年~2021年)され、2019年にKスポに隣接する道の駅かくだがオープン。スポーツへの期待が高まる一方で、地方自治体では少子高齢化、人口減少の問題が進み、地域スポーツ推進は立ち行かなくなると予想されました。

スポネットかくだ・会議の様子

スポネットかくだ・会議の様子

そこで、2019年4月に、SSFが提言する「地域スポーツ運営組織(RSMO)」構想に賛同いただき、角田市・角田市教育委員会とスポーツを通じた地域活性化における協定を締結、同年9月「スポーツネットワークかくだ(略称:スポネットかくだ)」を9団体で設立しました。SSFが提言する新たな地域スポーツプラットフォームの共同実践研究・かくだ版地域スポーツ運営組織となります。持続可能な運営体制・しくみの構築を目的に、将来ビジョン「スポーツを通した明るく楽しく健康で活力あるまち(アクティブシティ)」を実現します。

スポーツネットワークかくだ 構成団体

■支援・実践アドバイザー 笹川スポーツ財団
吉田 智彦(シニア政策ディレクター)
鈴木 貴大(政策オフィサー)
設立日:2019年9月20日

※2024年1月現在。ベガルタ仙台レディース角田ホームゲーム協議会が解散したため(2022年3月25日)、8団体で構成されています。

【最新情報】

スポネットかくだ 組織体制

スポネットかくだは、構成団体・関係団体間で円滑な連絡調整:①課題の抽出・整理→②課題解決の優先度分析→③解決策の検討→④役割の分担を行い、①②は懇談会を開催、③④は専門チームを設置し、スポーツで地域の課題を解決します。

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スポネットかくだ設立時、さまざまな年代の健康スポーツに関する課題を把握するため、健康スポーツ懇談会を開催。また、スポネットかくだの取り組みを発信する情報発信チームを常設設置し、Kスポと道の駅かくだの連携について検討するKスポと道の駅の健康拠点化チームも設置しました。現在は3つの懇談会、5つの専門チーム体制となっています。

スポネットかくだ 組織体制図

スポネットかくだ 組織体制(2024年1月時点)

スポネットかくだ 組織体制(2024年1月時点)

角田市のスポーツの課題を整理

角田市のスポーツ事業は多岐に渡り、また、さまざまな課題が山積しています。すべての課題に取り組むのは難しいため、下記の3点を明確化し、課題解決の優先度分析を行います。

①区分の明確化

多くのスポーツ事業を、2つの区分「インナー施策」と「アウター施策」を用いて整理。

●インナー施策=地域の体育協会や総合型地域スポーツクラブ、行政等により、スポーツ環境を充実させ住民のスポーツ参加機会を促進する施策
●アウター施策=各地域においてスポーツコミッション設立を契機に、スポーツを活用し、地域外との関わりの中で地域や経済を活性化させ交流人口を増やす施策

※RSMOではこの両方の施策を担う「ハイブリッド型事業体」を提唱
※引用文献:原田宗彦「スポーツ都市戦略」2016

②基準の明確化

その課題解決がどの程度効果があるのかで、優先度の基準を設定します。将来ビジョン指標化できる具体的表現に置き換え、その課題を解決することで「スポーツを楽しむ人をどれだけ増やすことができるか」を基準とします。

③期間の明確化

スポネットかくだは、持続可能な体制・しくみを構築し将来ビジョンの実現を目指します。地域スポーツが抱える根本的な課題解決を想定しているため、5・10年と中長期的な視点で優先度の分析を行います。

インナー施策とアウター施策の課題

健康スポーツ懇談会でライフステージごとの「するスポーツ」の課題を抽出・整理。さまざまな課題が出る中で「運動していない層にいかに運動してもらうか」という課題が全団体からあがり、課題の分析を行いまいした。

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<インナー施策>

■優先課題A:いかにより多くの人にスポーツを楽しんでもらうか(よりアクティブに)
「運動していない層にいかに運動してもらうか」という課題解決は、優先度の基準に直結することから、表現を整理し優先課題Aとしました。

■優先課題B:いかにスポーツの持つイメージを一新するか
スポーツのもつイメージが、特に競技スポーツから”苦しい” ”きつい” などと連想され、スポーツを楽しむ心理的ブレーキとなっている状況が顕在化。スポーツのイメージを”楽しい” ”健康に良い”などへ一新することが重要です。

<アウター施策>

■優先課題:かくだ版スポーツツーリズムの推進=道の駅とKスポが連携し、いかに地元で賑わうか
角田市では、2016年に地域活性化を目的にChallenge Million 2016協議会を設置。ヘルスツーリズム・スポーツツーリズムの展開を図り、2017年3月に「かくだ版のスポーツツーリズムの推進計画」を策定しました。スポーツと道の駅の連携について「角田中央公園等の利用者を増やす」などの基本方針を設定しており、これらを軸に課題を整理しています。

課題解決に向けたポーツ事業区分

<インナー施策:優先課題Aの解決方法>

優先課題Aを根本的に解決する際、「全世代すべての人」を対象とすると難しい取り組みとなるため、対象世代の設定課題を解決した場合の効果課題解決の難易度から具体的な解決方法を探ります。

インナー施策:優先課題Aの解決方法

■第1優先「幼児スポーツ」の課題解決/乳幼児チーム
幼少期に運動神経の8割が形成され、幼少期の運動習慣はその後の運動習慣にも影響すると言われます。幼少期の運動習慣は、各ライフステージでもポーツを楽しむ人を増やす効果が想定されるため、第1優先としました。日本スポーツ協会が開発した、子どもが発達段階に応じて身につけておくことが望ましい動きを習得するプログラム、「アクティブ・チャイルド・プログラム(ACP)」の角田版を実施します。

■第2優先「中学校部活動」の課題解決/部活動チーム
小中高のスポーツは高い効果が期待できますが、解決に向けての連携や調整に時間を要すると想定されます。また、小学校のスポーツは「幼児スポーツ」の延長線上で検討できる可能性があるり、中学校の運動部活動は地域移行など全国的に変革期にあることから、「中学校部活動」の課題解決に取り組みます。

<インナー施策:優先課題Bの解決方法>

スポーツのもつイメージ、特に競技スポーツから「苦しい」「きつい」「激しい」などと連想されやすく、そのことがスポーツを楽しむ心理的ブレーキとなっている状況が顕在化しました。このイメージを「楽しい」「さわやか」「健康に良い」などへ一新し、スポーツをしていない層・苦手な層にも、スポーツを楽しんでもらえる風土醸成を目的とし、具体的解決策を講じていきます。

①オール角田で取り組むシンボル事業によるイメージの一新/健康チーム
・住民総参加型スポーツイベント「チャレンジデー」の実施
チャレンジデーを通し、スポーツのもつイメージの一新を効果的に全市民、地域、団体、企業に対して行います。

②一番発信力のある言葉でイメージの一新/スポネットかくだ会議、情報チーム
・子どもから家族への言葉
過去、角田市では、小学生にゴミの分別教育を施したところ、親、祖父母も分別を行うようになった事例が報告されました。この事例をあてはめ、家庭内において子どもから「健康のために一緒にスポーツをしよう!」と発信することで、家族全体でスポーツを楽しんでもらう、という方法を実施します。

③ささえるスポーツ側からのイメージの一新/スポネットかくだ会議、情報チーム
・各スポーツ団体からの発信
スポーツをささえる側、即ち、スポーツ振興の中心となる各スポーツ団体が、団体や大会名称を変更することで、スポーツのもつイメージに対する壁を無くします。

<アウター施策:優先課題の解決方法>

ChallengeMillion2016策定した「かくだ版のスポーツツーリズムの推進計画」を軸に、スポネットかくだ設立以前からの課題・取り組みを整理し課題解決に取り組んでいきます。

①健康拠点強化/健康チーム
 目的:平日の集客→スポーツ教室やイベントの開催など
②幼児遊びの拠点化/乳幼児チーム
 目的:平日・土日の集客→親子教室や幼児の運動場所の整備など
③賑わいの拠点化/スポネットかくだ
 目的:土日の集客→KスポのイメージUP、スポーツイベント開催・誘致など

スポネットかくだ 事業紹介

スポネットかくだ 事業紹介 インナー施策とアウター施策

【情報チーム】2019年度~(常設)

スポーツで明るく楽しく健康で活力あるまち(アクティブシティ)を実現するために、角田市のスポーツ全体の情報発信をコーディネートします。

<主な取り組み>
●スポネットかくだ公式SNS(X、Instagram、Facebook)の運営
●Kスポ公式ホームページの運営
●SPORTS PRESS KAKUDA角田のスポーツ情報誌の刊行 など

【健康チーム】2019年度~

健康スポーツ(健康運動)により市民の健康増進を図る方法を検討します。

<主な取り組み>
●チャレンジデー
●健康づくり運動事業(ワンコイン教室やウォーキング教室、介護予防など)
●健康づくりサークル立ち上げ応援事業
●プール会員など会員事業
●トレーニング室リニューアル
●特定保健指導での総合体育館トレーニング質の活用
●生活習慣予防事業のさらなる展開 など

■インナー施策:優先課題B「オール角田で取り組むシンボル事業によるイメージの一新」
チャレンジデーを通し、スポーツのもつイメージの一新を効果的に全市民、地域、団体、企業に対して行います。

【乳幼児チーム】2020年度~

市内のすべての乳幼児へ発達段階の応じた適切な身体活動・運動あそびを提供するしくみ「かくだ版アクティブチャイルドプログラム(ACP)」を実施します。幼児親子への教室の展開、保育現場の教諭・保育士向けの研修や、保育現場での運動あそびに関する出前講座を行い、幼児期における身体活動・運動面の定着を図ります。

<主な取り組み>
●出前講座
●保育者への研修
●乳幼児健診の場を活用した事業
●子育て支援センター・スポーツ交流館での運動あそび講座 など

■インナー施策:優先課題A-第1優先「幼児スポーツ」の課題解決
幼稚園・保育所等と連携しながら「アクティブ・チャイルド・プログラム(ACP)」の角田版を実施

■アウター施策:幼児遊びの拠点化
●スポーツ交流館での親子遊び場解放
●どんぐりパーク・バランス広場 など

【部活動チーム】2021年度~

角田市の中学校における運動部活動を、子どものためによりよいものにするために、部活動懇談会で把握した課題、国の部活動改革などの動向を踏まえ、「かくだ版の部活動のあり方」を検討します。

<主な取り組み>
中学校の部活動の在り方検討
運動部活動から地域クラブ活動への移行

■インナー施策:優先課題A-第2優先「中学校部活動」の課題解決
2020年度に懇談会を開催し、2
021年度より中学校の部活動に関する専門チームを設置。「学校(教員)」「生徒、保護者」「部活の延長団体」それぞれが抱える課題を整理し、「中学校の部活動の在り方検討」「運動部活動から地域クラブ活動への移行」を優先し取り組んでいます。

【車いすバスケチーム】2022年度~

車いすバスケットボールによる角田市での今後の取り組みを進めます。

<主な取り組み>
●車いすバスケットボール体験会
●日本パラスポーツ協会の補助金を活用した環境整備(車いす展示など)
●宮城県障がい者スポーツ協会との連携事業(パラスポーツ体験イベントなど)

市・教育委員会における位置づけ

角田市のまちづくりにおける最上位計画「角田市第6次長期総合計画」(2022年度~2031年度)が策定され、重点施策に「スポーツによるまちづくり」が位置づけられました。スポネットかくだの役割やスポーツの位置づけが明確になり、中長期的に「アクティブシティかくだ」の実現に向け各事業を進めていくことが可能となりました。

また、スポーツ庁において、2022年度から第3期スポーツ基本計画が始まり、スポーツに求められる役割・期待がさらに広がりました。さらに厚生労働省では、2023年度に健康日本21(第三次)を改定し、運動による一次予防の重要性の高まりが予想されます。

今後は、第2期角田市スポーツ推進計画および角田市にこにこ健康プラン(健康増進計画)の改定(2024年から10年計画)に向け、スポネットかくだの取り組みを当該計画改定としっかり連動し、将来ビジョンの着実な実現を目指しています。

アウター施策

①健康拠点強化 → ウォーキングステーション設置やトレーニング室のリニューアル
②幼児遊びの拠点化 → 交通公園バランスボール広場開設や幼児用遊び場「どんぐりパーク」OPEN
③賑わいの拠点化 → ドリームベースボール誘致、全日本車いすバスケ合宿開催、プロ野球OBクラブ誘致
など、スポネットかくだ設立以前からの取り組みに加え、新しい事業も展開しています。

スポネットかくだ 2019年~2021年の活動報告

SSFが提言した「地域スポーツ運営組織(RSMO)」の形成に向け、新たな地域スポーツプラットフォームの実践研究として2019年9月に設立したスポネットかくだ。スポネットかくだ設立からの3年間の活動をまとめた報告書を作成しましたのでご覧ください。


スポネットかくだへの期待と今後

■国井 康士 氏(角田市教育委員会事務局生涯学習課 スポーツ振興係長)

国の第2期基本計画が策定されスポーツへの期待が高まる中、スポーツ行政の担当者としては、生涯学習課による活動の限界と、さらには、今後の少子高齢化を踏まえると、現在のスポーツ推進体制を維持することでさえ難しいと感じておりました。

そのような中、笹川スポーツ財団が政策提言しているRSMOは、その課題をまさにカバーするものでした。

具体的には、かくだ版RSMO「スポネットかくだ」において、行政(市長部局、教育委員会)とスポーツ関係の市民団体(スポーツ協会、スポ少、総合型など)が、課題を共有し、何を優先し解決していくかを一から話し合うことで、しっかりとした連携が図られており、新たなスポーツ推進につながっております。

なお、会議では、笹川スポーツ財団や地元仙台大学から、さまざまなアドバイスをいただいており、そのことは、いままでの枠組みにとらわれない新たな活動への大きな力となっていると感じております。今後の活動がとても楽しみです。

■遠藤 良則 氏(スポネットかくだ 地域スポーツコーディネーター)

総合型地域スポーツクラブのクラブマネジャーとして、かくだ版RSMO「スポネットかくだ」で、地域スポーツコーディネーターを担当しています。事業の柱である健康やスポーツの分野での課題解決では、各団体から多角的に意見が寄せられ、より効果的な策が立案、実行されています。また、横のネットワークを有効に活用することで、これまでの各団体の事業を拡充させる可能性が生まれました。

乳幼児を対象にした活動では、市内の幼稚園、保育園はもとより公立、私立の枠を超え、地域全体をカバーする取り組みができるようになりました。

設立間もない組織ですがRSMOの理念の下、角田市の特性を活かした地域の活性化を進めたいと考えています。

※2021年6月

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今週末のKスポのイベントや角田市で開催される大会情報、角田市スポーツ交流館『親子のあそび場』情報など盛りだくさん!

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