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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

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新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較(イングランド・オランダ)

新型コロナウイルスとスポーツ

新型コロナウイルスにより一度止まったスポーツ活動も再開し始めましたが、各国、各競技団体で、感染症対策などを踏まえながらスポーツ活動再開に向けたガイドラインを発表しています。笹川スポーツ財団では、国際的なスポーツ・フォー・オールの統括組織であるTAFISAやSSF海外研究員のネットワーク等を通じて、国内外のガイドラインを収集しています。

【第15回】  新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較(イングランド・オランダ)

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較(イングランド・オランダ)

本年6月に笹川スポーツ財団では、全国の18歳から79歳の男女5,000人を対象に『新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査』を実施して、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況の中で、国民の運動・スポーツの実施状況などがどのように変化しているかを調査しました。

類似する調査は海外でも行われており、今回は一部の調査項目について、イングランドのスポーツイングランド(Sport England i が実施している"Active Lives Adult Survey Coronavirus Report"、オランダのオランダオリンピック委員会・スポーツ連合(Nederlands Olympisch Comité * Nederlandse Sport Federatie : NOC*NSF ii が実施している"Sportdeelname Index"との比較を行い、国内の状況との共通点や差異を洗い出そうと試みました。
(各国で実施されている調査は、それぞれ調査方法・対象・サンプル数が異なるため、本稿では、調査項目ごとの厳密な比較ではなく、大きな傾向を比較することを目的としています。)

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較(イングランド・オランダ)(PDF:295KB)

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較

<国際比較結果のポイント>

■運動・スポーツ実施率

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較 運動・スポーツ実施率

  • 今回比較を行った3か国においては、いずれの国においても新型コロナウイルスの影響により、運動・スポーツの実施率にネガティブな影響が出ていることがわかった
  • オランダでは月次データを公表しており、7月以降に運動・スポーツの実施率が急回復していることがわかる。ただし欧州では10月以降、再度新型コロナウイルスの感染が拡大しており、規制が強化されているため、数値が再び悪化する可能性は高い
  • 日本においても、オランダと同様に7月以降に運動・スポーツ実施率が急回復していくのか、笹川スポーツ財団では10月と2月に再度同様の調査を行うため、その中で見極めていきたい

■種目別運動・スポーツ実施状況

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響の国際比較 種目別運動・スポーツ実施状況

  • 新型コロナウイルス感染拡大によってネガティブな影響を受けた種目として施設利用が必要な種目や団体種目が上位を占める傾向は各国共通であった
  • イングランドでは、政府の規制により自宅近辺のみ活動が許可されていたため、遠出が必要となる種目(山歩きなど)の減少幅も大きかった。各国で実施している規制の内容によっても、影響を受ける種目が変化する可能性がある

<今後に向けて>

  • 笹川スポーツ財団が実施した「新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査」では、本稿で海外との比較を行った調査項目以外にも、新型コロナウイルスの影響によるスポーツ環境の変化や今後運動・スポーツを実施する際に気を付けたいことなどについてアンケートを実施している。しかし現状それらの調査項目については海外の類似調査結果が見つかっていない。今後海外の類似調査結果を見つけた場合は比較を行っていく想定である(ただし、各国が実施している規制の内容や発表しているガイドラインの内容の影響を受けて、回答の傾向が異なる可能性は予見される)
  • 笹川スポーツ財団では既に10月に第2回の調査(国内)を行っており、2021年2月には第3回の調査を行うことを計画している。よって本稿の内容は、今後も更新していく予定である


(本記事の内容は別途記載がない限り、2020年12月22日時点の情報に基づくものであり、その後情報の更新・変更が行われている場合がある)

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策ディレクター 武富 涼介

【リンク先】




i  英国におけるスポーツ関連の非省庁公的機関であり、イングランドにおける草の根スポーツの振興を担っている

ii 1993年にオランダオリンピック委員会とスポーツ連合が合併して設立された団体。オランダ国内の競技団体を統括しており、国内スポーツ実施率の向上とエリートスポーツの推進をミッションとしている。90のスポーツ関連団体が加盟している。

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