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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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寄稿「体育社会学の課題と展望」

宮本 幸子シニア政策ディレクターが分担執筆した書籍「体育社会学の課題と展望」が大修館書店から発行されました。宮本 幸子シニア政策ディレクターは、第5章の「子どもの成長と体育」を執筆しています。

体育社会学の課題と展望

体育社会学の課題と展望

出版
大修館書店
発行日
2025年10月23日
定価
3,080円(本体2,800円+税10%)

 

【内容】

体育で何ができるかを考えるためのテクスト

本書は、体育と体育社会学を学ぼうとする人たちに対し、体育社会学的思考の広がりとその特徴を理解することによって、体育をどのように捉え、何を批判し、何が可能になるのかを考えるためのテクストである。多様な体育的事象についての社会学による分析・考察に加え、体育DXやSDGsの観点からも体育を論じている。

【目次】

第Ⅰ部 学校体育の理論と実践

第1章 学校体育の価値と制度
1 制度としての体育と学校/2 体育の社会的構造からみた学校体育/3 戦後日本の社会変動と学校体育における価値の変遷/4 これからの学校体育のあり方に影響を及ぼす体育社会学の役割

第2章 学校体育と生涯スポーツ
1 学校体育における生涯スポーツへのまなざし/2 生涯スポーツに関わる学校体育のジレンマ/3 まとめに代えて――生涯スポーツがめざす世界

第3章 体育教師論
1 令和の時代に体育教師が果たす役割とはなにか/2 体育教師の業務内容/3 体育教師像に関する学術的な研究の概観/4 体育教師の性別にみる不均衡/5 体育授業の潜在的なカリキュラム/6 体育授業や部活動を通して身につける「ハビトゥス」/7 部活動の地域移行に伴う体育教師に求められる役割の変化/8 内田樹の体育教育への提言

第4章 運動会と体育
1 歴史社会学的に捉えた運動会の変遷/2 2000年代の運動会の二大潮流──よさこい/YOSAKOIと組体操/3 変化し続ける運動会

第5章 子どもの成長と体育
1 子どもの体力・運動習慣を把握する全国調査/2 子どもの体力・運動習慣に関する実証研究/3 体育社会学における研究/4 体育社会学における今後の課題

第6章 保健と体育をめぐる性――“包括的保健体育科教育”を構想して
1 戦後の学校教育と“性”/2 体育にみる多様な性の要素/3 保健における性教育の内容/4 保健と体育社会学/5 “性”を通じた包括的保健体育科教育

第Ⅱ部 学校運動部活動の現在地

第7章 学校運動部の歴史的展開
1 運動部活動の戦後史/2 学習指導要領の変遷――必修クラブ活動と部活動/3 学校体育連盟の結成――何のために中体連はつくられたのか/4 全国競技大会の展開――なぜ中体連は全中を始めたのか/5 運動部活動の現在地――歴史的視点からみた課題

第8章 学校運動部と地域社会
1 学校運動部をめぐる今日的様相/2 部活動の地域移行「政策」出現の背景/3 生徒ならびに教師たちは何を思っているのか/4 体育社会学は部活動の地域移行動向(政策)にどう向かい合うべきか

第9章 運動部におけるハラスメント
1 ハラスメントの温床としての運動部集団/2 運動部でハラスメントが生じる文化的背景/3 運動部のハラスメントに関する政策展開/4 プレーヤーズセンタードとアントラージュ/5 運動部におけるアントラージュの重要性/6 ハラスメントのない運動部のために

第10章 運動部文化の特徴と課題
1 大学運動部に対するまなざし/2 日本におけるスポーツ文化の起源としての大学運動部活動――1880年代~1900年代/3 日本のスポーツ政策と学生――アスリート養成の責任とインテグリティ/4 高等教育機関における運動部を考えることへ

第11章 指導者論のこれまでとこれから
1 脱根性論の風景?/2 自主性という理想と困難/3 指導する技法の系譜学/4 「教える/学ぶ」関係の非対称性

第Ⅲ部 社会体育と生涯スポーツ

第12章 社会体育の誕生と生涯スポーツ論の系譜
1 社会体育の歴史/2 地域体育、コミュニティ・スポーツ/3 職場体育、職場スポーツ/4 社会体育の指導者/5 生涯スポーツ論の展開/6 まとめ

第13章 地域におけるスポーツ政策とスポーツ行政
1 戦後のスポーツ政策と行政をめぐる動向/2 行政の機能と行政裁量/3 行政をめぐる「官僚制」の特徴と逆説(パラドックス)/4 過度な官僚制の抑制と脱官僚制に向けた動き──行政内部の動きに着目して/5 行政と住民、民間との「協働」システムの構築と課題/6 地域におけるスポーツ政策とスポーツ行政をめぐる課題

第14章 地域クラブ論
1 行政主導から住民主導へ──地域クラブの展開/2 「スポーツのための」組織――地域クラブ論の出発点/3 コーヒーハウスから公共圏へ――クラブの起源と役割/4 「民主主義の母胎」としてのクラブ――サードプレイス/5 運動部から地域クラブへ――スポーツ組織の自立/6 「新しい公共」を担う地域クラブ

第15章 まちづくりとスポーツ
1 スポーツを通したまちづくり/2 スポーツイベントとまちづくり/3 チーム・クラブとまちづくり/4 プレイス(場所)とまちづくり/5 まとめと課題

第Ⅳ部 これからの体育を考える

第16章 社会的格差を超えて──不登校児童生徒の支援と体育
1 揺らぐ学校と体育/2 学校外支援機関におけるスポーツ活動の特徴/3 不登校と学校/体育を考える4つの視点/4 潜在的カリキュラム/5 おわりに

第17章 体育と事故
1 リスクと安全/2 体育的活動中における事故の「実在」/3 体育的活動中における事故の「認知」

第18章 すべての人の共生に向けて
1 スポーツを通じた共生とは──パラスポーツに着目して/2 「共生」の概念とパラスポーツ/3 「文化モデル」からみたパラスポーツ/4 「スポーツを通じた共生」を実現するメディアとしての身体の可能性

第19章 体育DXの展開
1 DXとは何か/2 体育DXの現在地/3 「変わらない体育」のシステムとその社会学的背景/4 DXは体育の保守性を打破するのか/5 体育DXの今後に向けて──体育教師の自律、協働に向けたネットワーク化

第20章 ウェルビーイングに向けた教育──SDGsをスポーツから考える
1 ウェルビーイングの達成におけるスポーツの可能性を考える/2 近代スポーツの限界(二元論の限界)/3 ウェルビーイングに向けた教育/4 自己研鑽と連帯のためのスポーツ・体育をめざして

第Ⅴ部 体育社会学の理論と方法――体育社会学研究の批判的検討

第21章 体育社会学の理論
1 体育社会学の理論ことはじめ/2 体育社会学で用いられてきた理論/3 体育という固有の対象から社会を捉えるために

第22章 体育社会学の方法論
1 量的研究と質的研究/2 科学的研究の前提/3 体育の社会学的なデータ収集の実際/4 体育社会学の方法