新型コロナウイルスの影響による人々の生活の変化をみると、「通勤・通学の回数や時間」が減少した人や、「家事や育児・介護の時間」が増えた人が2~3割程度いることがわかった。テレワークやオンライン授業などが人々の生活時間に変化をもたらしたと考えられる。また、本調査では家事・育児時間の増加は男性より女性の割合が高く、女性への影響が大きかったと考えられる。さらに、家事・育児分担に対する男女の意識の差がみられ、性別による違いが確認できる結果もあった。
日本生産性本部が2022年1月に行った調査※によると、テレワークの実施率は減少傾向を示したものの20%前後で推移しある程度定着した様子が確認できる。テレワークによる自由な時間の増加は、人々のより豊かな生活につながる重要な変化であるが、家事・育児などの負担が増えた人もいる点は軽視できない。新型コロナウイルスがもたらした働き方の変化を、より良い「ニューノーマル」として社会に定着させるために、行政や企業には以下を求めたい。
<行政> 保育園入園の条件緩和や学童保育の拡充など、子育て世帯の支援を強化する制度づくりの検討
(例)働く場所が「外か自宅か」で差がつく、保育園の入園選考時の優劣を緩和、民間の学童クラブ設立支援や利用補助の拡充など
<企業> 従業員各々のライフスタイルに合わせて出勤割合や方法を選択できる多様な働き方を可能にする仕組みの検討
(例)週単位での出勤日数の設定、在宅勤務やサテライトオフィスの導入など
※公益財団法人日本生産性本部 「第8回働く人の意識調査」
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策オフィサー 鈴木貴大、清水恵美