ジョギング・ランニング実施率の推移
笹川スポーツ財団では、2024年6月から7月にかけて成人を対象とした「スポーツライフに関する調査」を実施しました。20歳以上のジョギング・ランニング実施人口は758万人、男性564万人、女性175万人と推計されます。
最新の「スポーツライフ・データ」から、ジョギング・ランニングの実施人口・実施率の推移について解説します。
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Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
ジョギング・ランニング実施率の推移
笹川スポーツ財団では、2024年6月から7月にかけて成人を対象とした「スポーツライフに関する調査」を実施しました。20歳以上のジョギング・ランニング実施人口は758万人、男性564万人、女性175万人と推計されます。
最新の「スポーツライフ・データ」から、ジョギング・ランニングの実施人口・実施率の推移について解説します。
減少の背景には、マラソン大会の減少や運動・スポーツに代わる余暇の選択肢の拡大か
ジョギング・ランニングの年1回以上の実施率は、東京マラソン開始後の2008年から増加し、コロナ禍初期である2020年に全体および男性で過去最高を記録したが、その後減少に転じ、2024年は2008年と同水準になった。前回調査からは男性40・50歳代、女性の60歳代・70歳以上で増加した一方で、女性20歳代では大幅に減少するなど、全体としては減少傾向が継続した。
ライフスタイルの変化によるSNSやスマホゲームの利用、動画の視聴といった余暇活動の選択肢拡大が、運動・スポーツ実施率全体の減少傾向の一因となっていると推測される。このような中、健康志向や市民マラソン大会の増加を背景に上昇してきたジョギング・ランニング実施率も20・30歳代の顕著な低下に牽引され、減少する結果となった。また、近年は人件費・物価上昇に伴う大会運営費や参加費の高騰、大会の飽和状態による参加者数の減少から中止や終了する大会も散見され、継続意欲の維持が困難な状況も実施率減少の要因となっている可能性がある。
笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー松下 由季
年1回以上のジョギング・ランニング実施率は2022年の8.5%から1.1ポイント減少し、2024年は7.4%であった(図1)。性別にみると男性の実施率は11.4%、女性は3.3%と、いずれも2022年から1ポイント程度減少している。実施率の推移を過去20年間で振り返ってみると、2004年(6.6%)から増加傾向がみられていたが、2020年の10.2%をピークに減少に転じ、2024年も減少が続いた。
2024年に年1回以上のジョギング・ランニングを実施した人は推計で758万人であった(表1)。過去最高を記録した2020年の1,055万人からは約300万人減少した。性別にみると男性は564万人、女性は175万人であり、年1回以上ジョギング・ランニングを実施する人は男性に多い。この傾向は調査を開始した1998年から同様で、当初は2倍を下回っていた推計実施人口の男女差は2024年には3倍以上に開いた。女性は調査開始以降、実施率が最も低くなり、推計実施人口も20年ぶりに200万人を下回った。
| 1998 | 2000 | 2002 | 2004 | 2006 | 2008 | 2010 | 2012 | 2014 | 2016 | 2018 | 2020 | 2022 | 2024 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 実施率(%) | 6.9 | 7.7 | 4.8 | 6.6 | 5.9 | 7.3 | 8.5 | 9.7 | 9.5 | 8.6 | 9.3 | 10.2 | 8.5 | 7.4 |
| 推計人口(万人) | 675 | 766 | 483 | 671 | 606 | 755 | 883 | 1009 | 986 | 893 | 964 | 1055 | 877 | 758 | |
| 男性 | 実施率(%) | 8.7 | 10.5 | 6.2 | 9.7 | 8.1 | 10.0 | 12.2 | 14.0 | 12.9 | 11.8 | 12.9 | 14.9 | 12.3 | 11.4 |
| 推計人口(万人) | 413 | 506 | 302 | 478 | 402 | 500 | 612 | 703 | 647 | 592 | 646 | 744 | 612 | 564 | |
| 女性 | 実施率(%) | 5.2 | 4.9 | 3.4 | 3.5 | 4.0 | 4.6 | 4.8 | 5.3 | 6.1 | 5.4 | 5.8 | 5.6 | 4.6 | 3.3 |
| 推計人口(万人) | 262 | 251 | 176 | 184 | 212 | 246 | 257 | 285 | 327 | 290 | 311 | 300 | 245 | 175 | |
注1)推計人口は住民基本台帳の成人人口(人)に実施率(%)を乗じて算出
注2)推計値を算出する際に端数が発生するため、全体の人口と男性・女性を合計した人口は必ずしも一致しない
笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」(1998~2024)より作成
年1回以上のジョギング・ランニング実施率を性・年代別にみると、2024年の男性では40歳代の18.2%が最も高く、20歳代13.5%、30歳代12.9%、50歳代12.6%と続く(図2)。50歳代以下の実施率は調査年度によって変動はあるものの、2020年をピークに減少したが、40歳代と50歳代の実施率は2022年から増加した。
女性の2024年実施率は40歳代の5.1%が最も高く、20歳代4.9%、30歳代3.9%と続く(図3)。20歳代の実施率はほかの年代に比べ高い傾向が続いていたが、2020年から3分の1程度へと大きく減少し、2024年は40歳代を下回った。30歳代の実施率も減少傾向が継続した。一方、女性で2022年より実施率が増加したのは60歳代、70歳以上であった。
全体の週1回以上の実施率は、2022年の5.4%から1.1ポイント減少し、2024年は4.3%であった(図4)。性別にみると男性は7.0%、女性は1.6%といずれも前回より1ポイント程度減少し、女性は2004年以来20年ぶりに2.0%を下回った。
全体の週1回以上の実施率の推移を過去20年間で振り返ると、年1回以上の実施率と同様に2004年から2012年にかけては右肩上がりの増加傾向を示し、その後2022年までは横ばいで推移したが、2024年は2010年水準まで減少した。
年1回以上のジョギング・ランニング実施率を都市規模別にみると、2024年は東京都区部が10.1%で最も高く、20大都市8.6%であった。20大都市のみ前回調査から実施率が増加した。町村は2018年から2022年まで上昇傾向であったが、2024年は2022年から2.9ポイント減少し5.5%となった。
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活用例
スポーツライフ・データ
2024年度
