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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

【碧南市】テキスト版 小池 友妃子市長 対談

スポーツをまちづくりへ
スポーツでアクティブなまちづくり 碧南市

2025.12.18

碧南市(愛知県)
小池 友妃子市長 対談

〈主な内容〉

青い空と白い砂が広がる愛知県碧南市は、この夏もたくさんの青春であふれていました。 ビーチバレー全国中学生大会や女子軟式野球、総踊り「元気ッス!へきなん」。 全国から集まった同世代の子たちが、汗を光らせながら“本気”と向き合う姿は、まるで映画のワンシーンのよう。

家族のあたたかい声援、商店街で生まれるやさしい会話、国や文化をこえて一緒に踊る輪。そのひとつひとつが、このまちをそっとつなぎ、未来へ進む力になっています。

碧南の夏には、いつもドラマがあります。 スポーツでどのような社会課題を解決し、どんな未来をつくろうとしているのか? その答えを、小池市長に伺いました。

スポーツの力「挑戦」「自己効力感」「あきらめない心」

蒼い空。白い砂。歓声。海と産業のまち、愛知県碧南市(へきなんし)。
ここには、全国の若者が集う"舞台"がある。

スポーツは、まちを変えられるか。

渡邉理事長  碧南市初の女性市長である小池市長に、スポーツによるまちづくりについてお伺いしたいと思います。小池市長、よろしくお願いいたします。

小池市長   どうぞよろしくお願いいたします。

第1章 市長の歩みと原点

碧南市初の女性市長――小池友妃子(こいけ ゆきこ)。
働きながらの子育てが"政治"への扉を押した。足りないと思ったら、自分が動く。

碧南市初の女性市長――小池友妃子

個人の原体験を、まちの推進力に変えられるか?

小池市長   子どもを産み育てながら働く環境というものが、地元・碧南市ではなかなか進んでいなかった。
自分がみずから行動に移そうという中で、まずは市議会議員から、できることを一つ一つやっていこうと考えました。

みずからが剣道で学んだ礼。自分の子どもたちのスポーツから感じた挑戦の喜びと、あきらめない心。スポーツは人を育てる――それを実感してきた。

小池市長   一つ一つ自分の成果が出ていくと、嬉しいですよね。
スポーツのすばらしさというのは、親の立場で改めて知ったところがあります。

第2章 まちと計画

港と工業のまち・碧南。産業の力に、文化とスポーツが重なる。次の一歩は、"つながる"まちづくり。

スポーツをする、みる、ささえる、つながる

「つながる」は、日常のどこで生まれる?

渡邉理事長  2025年からスポーツ推進計画が新しくスタートしたようですね。

小池市長   『する』『みる』『ささえる』というものが、これまで基本方針の中にありましたが、昨年度それに『つながる』という言葉を加えて、この4つを基本方針として取り組ませていただいております。
ひとつをきっかけに、こうやってまちがつくられていくんだなと。さらにまちづくりに拍車がかかっていくところです。

第3章 ビーチスポーツの舞台

第3章 ビーチスポーツの舞台

川合俊一氏(トヨタビーチバレーボール部 エグゼクティブ・アドバイザー)  来年のアジア大会で、碧南市はビーチバレーボールの大会を開催します。これを機に"愛知県でビーチバレーといえば碧南"と言われるように、強化拠点としてしっかりビーチバレー場を宣伝していきます。

マルキ ナシム選手(トヨタビーチバレーボール部) やっぱり今トップでやらせてもらっている僕たちが、海外や国内でガンガン活躍していくことが、影響力となっていくのかなと思っています。

海辺の緑地公園に整備された、日本最大級の本格ビーチコート。
白い砂は粒がそろい、跳ぶ力を後押しする――"飛べる砂"。

小池市長   白いですよね。その美しい砂をここでは使用しています。
こんな素晴らしい砂の上でスポーツができるということは、とても嬉しいというお声をいただいております。

渡邉理事長  そういった流れもあって、2026年アジア大会のビーチバレーの会場にもなっているそうですね。

小池市長   はい。まだ仮予約で、なかなか『仮』が消えないんですけれども。

2026年――アジア競技大会の舞台へ。「仮予約」は、準備への合図だ。

"全国レベルの舞台"をどう日常へ還元?

小池市長   この砂の中で体幹が鍛えられています。たとえば陸上クラブの子どもたちがここを使って活動を楽しんだり、高齢者の方でも無料で開放している時がございますので、それぞれのやり方でスポーツを楽しんでいただいているところが、魅力になっているのではないかなと思います。

つくって終わりではない。すべての市民の健康につなげる。

第4章 マンモスカップ U15

北海道から沖縄まで。"目指す場所"が、人を強くする。
全国大会の舞台は、地域に何をもたらすのか。

第4章 マンモスカップ U15 目指す場所がまちのブランドをつくっていく

渡邉理事長  私も昨日、今日と、このビーチバレー全国大会を拝見しました。

小池市長   ありがとうございます。

渡邉理事長  北海道から南は沖縄まで、全国から子どもたちが来て。実は北海道の代表選手が名寄市から来ていて、名寄市は私たちSSFが連携協定を結んでいるところですが、ビーチがないんですよ。『どうやって練習しているの?』と聞いたら、『旭川まで2時間くらいかけて、週に数回練習しているだけ』という話だったんですね。

小池市長   バレーボールだけではなく、サッカーやさまざまな競技の全国大会が、ここ碧南で行われており、今の時期は全国からいろんな方たちが来る時期になっております。

全国大会は、まちの誇りにできるのか?

小池市長   実は日本バレーボール協会さんから、今回の全国大会を公式にできないかというお話をいただきまして、何か日本に対する貢献がひとつできたのではと感じております。

目指す場所が、まちのブランドを育てていく。

第5章 つながる経済圏

誇りが役割をみつけ、つながりがまちを強くする

渡邉理事長  2人とも日本一になりましたね。おめでとうございます。

宮城県代表選手  ありがとうございます。

渡邉理事長  東北でははじめて?

宮城県代表選手  はじめてです。

渡邉理事長  わぁ、すごい!

競技の熱は、まちににじむ。食べる。祈る。出会う。――みんながつながる。

小池市長   この14店舗の方たちにお声掛けをさせていただいたんですが、やはり全国から来ていらっしゃる方たちとの"言葉の対話"ですね。対話もすごく楽しんでいらっしゃるし、こういったマルシェがあると対話のひとつのきっかけにもなるので、ご縁ができてきていいなと感じました。

スポーツイベントを地域経済の力にできるか?

小池市長   常に協賛してくださっている棚尾地区というところに商店街がありまして、その商店街の方たちがいろいろとこのビーチ競技を盛り上げてくださっています。ある意味、このコートができたおかげで『やりがいを見つけた』と頑張ってくださっている方たちが増えてきていますので、そういった意味でもありがたいなと思っています。

渡邉理事長  なるほど。先ほどお話にあった、人と人がつながって、それがまちづくり・地域の活性化にもつながっている。素晴らしい大会、ブランド力ですね。

小池市長   そうですね。このひとつをきっかけとして、さらにまちづくりに拍車がかかっています。

誇りが役割を見つけ、つながりがまちを強くする。

第6章 女子軟式野球の挑戦

女子スポーツの挑戦を次の世代の標準にする

加藤監督(愛知アドバンス)  『全国女子軟式野球選抜交流碧南大会』が開催されておりまして、開催地枠として枠をいただいていることが本当にありがたいです。

もうひとつの柱・女子軟式野球『全国女子軟式野球選抜交流碧南大会』。
20回の挑戦は、次の世代へ。

女子スポーツの舞台をどう育てていくか?

渡邉理事長  全国に女子の軟式野球であれば、"目指せ碧南"という形が出来上がっているんでしょうか。

小池市長   はい。中学生を中心に、この碧南市の全国大会を目指して、日々練習に取り組んでいるところはあると思います。
掲げた目標に、みんなで一緒に取り組んでいる姿を見ることができて、かえって応援に行く私が勇気をいただいています。

女子スポーツの挑戦を、次の世代の"標準"にする。

第7章 多文化の輪

一緒に踊る。その先にある共生社会

デウィ・シンタさん(碧南市在住)  同じインドネシア人、日本に来てすごく遠いじゃないですか。だから助け合いの気持ちが私は強い。応援したい、助けたい、何かやってあげたいという気持ちが強いです。

市民の1割が外国にルーツをもつ。"誰もが踊れる"総踊りは、共生の象徴だ。

小池市長   『元気ッス!へきなん』という総踊りがありまして、これが26回目を迎えました。知らない方とのご縁がつながる場として、すごく最高のイベントではないかなと思っています。

多文化共生のまちづくりにスポーツはどう貢献できるか?

小池市長   碧南の実行委員の中にも外国にルーツのある方に入っていただいて、日本語教室の先生たちも交えた友好親善協会がございます。外国のさまざまな方たちも一緒になって連をつくって、一緒に踊っています。

一緒に踊る。その先にある共生社会。

第8章 未来へのメッセージ

次の一歩、あなたは何で関わりますか?スポーツで社会課題は解決できる

スポーツは挑戦と成長を通じて人を強くし、まちを変える。

渡邉理事長  これまでいろいろなお話を伺ってまいりました。人と社会のウェルビーイングを増幅させる、そんな価値をスポーツはもっていますけれども、市民の皆様に対して一言お願いできますか。

小池市長   はい、ありがとうございます。私は市長になって掲げたことがありますが、それは子どもたちが夢や希望を描ける社会を、この碧南からつくっていくことです。そういった意味で、碧南から日本を変えていきたいという思いで市長にならせていただきました。
それは子どもだけではなく、スポーツを通じながら自分たちができることは一体何であるのか、目標を掲げて自分で取り組んでいく。一つ一つその目標を達成していくことで、自己肯定感やウェルビーイングを高めていくことにつながっていくと思います。そういったまちづくりを今後も続けていきたいと考えております。

渡邉理事長  はい。今日は長時間にわたり、いろいろお話を伺わせていただき、本当にありがとうございました。

小池市長   こちらこそありがとうございました。

渡邉理事長  市長もまだ1期目ということですので、これから市長の描く未来像に向かって、まちづくりを進めていってください。どうもありがとうございました。

小池市長   ありがとうございました。

碧南の海辺から――スポーツが、まちと人をつないでいく。
次の一歩、あなたは何で関わりますか?

#スポーツで社会課題は解決できる