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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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2020年 好きなスポーツ選手 (スポーツライフ・データ)

「大坂なおみ」が第4位と初の上位に。 1位は前回調査に続き「羽生結弦」
1位は前回調査に続き「羽生結弦」

1位は前回調査に続き「羽生結弦」写真:フォートキシモト

大坂なおみが好きなスポーツ選手第4位にランクイン、初の上位20名入りを果たす。

BLM運動への賛同をマスクで表明し、全米オープン女子シングルスに優勝した大坂なおみ

BLMへの賛同を表明し、全米オープン女子シングルスに優勝した大坂なおみ 写真:共同通信社

SSFは2020年8~9月に「スポーツライフに関する調査2020」を実施し、「好きなスポーツ選手」をたずね、回答者全体の74.9%にあたる2,246名が回答し、489名の選手名があげられた。

 表1に示す全体では、好きなスポーツ選手の1位は「羽生結弦」7.8%であり、次いで「イチロー」7.5%、「大谷翔平」5.1%、「大坂なおみ」4.9%、「浅田真央」4.2%となった。4位の「大坂なおみ」は今回初めて上位20名に入った。上位20名に入る選手の種目をみると、野球が5名、ゴルフとサッカーがそれぞれ3名、フィギュアスケートとテニスとバスケットボールがそれぞれ2名、水泳・ボクシング・バレーボール・バドミントンがそれぞれ1名であった。

 性別にみると、男性は「イチロー」10.1%が最も高く、調査項目に追加した2002年から連続して男性の1位をキープしている。「イチロー」と3.9ポイント差で、2位には「大谷翔平」6.2%が入った。3位以降は「錦織圭」3.1%、「長嶋茂雄」「リオネル・メッシ」が同率で2.4%と続く。女性の1位は「羽生結弦」15.3%であり、2位の「浅田真央」「大坂なおみ」8.0%を7.3ポイント上回る人気である。4位は「錦織圭」5.0%、5位は「イチロー」4.8%であった。女性では、人気上位20位圏内にフィギュアスケート選手が4名と多い特徴が認められる。

 調査結果は「スポーツライフ・データ 2020」に掲載しています。

【表1】好きなスポーツ選手 2020(全体・性別)
全体(n=2,246) 男性(n=1,140) 女性(n=1,106)
順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名
1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 7.8 1 イチロー(野球) 10.1 1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 15.3
2 イチロー(野球) 7.5 2 大谷 翔平(野球) 6.2 2 浅田 真央(フィギュアスケート) 8.0
3 大谷 翔平(野球) 5.1 3 錦織 圭(テニス) 3.1 大坂 なおみ(テニス) 8.0
4 大坂 なおみ(テニス) 4.9 4 長嶋 茂雄(野球) 2.4 4 錦織 圭(テニス) 5.0
5 浅田 真央(フィギュアスケート) 4.2 リオネル・メッシ(サッカー) 2.4 5 イチロー(野球) 4.8
6 錦織 圭(テニス) 4.0 6 坂本 勇人(野球) 2.3 6 大谷 翔平(野球) 4.0
7 池江 璃花子(水泳) 2.0 渋野 日向子(ゴルフ) 2.3 7 池江 璃花子(水泳) 2.7
8 渋野 日向子(ゴルフ) 1.8 8 井上 尚弥(ボクシング) 2.0 8 石川 祐希(バレーボール) 1.4
9 坂本 勇人(野球) 1.6 9 大坂 なおみ(テニス) 1.8 渋野 日向子(ゴルフ) 1.4
10 リオネル・メッシ(サッカー) 1.4 マイケル・ジョーダン(バスケットボール) 1.8 八村 塁(バスケットボール) 1.4
11 長嶋 茂雄(野球) 1.3 11 松山 英樹(ゴルフ) 1.7 11 宇野 昌磨(フィギュアスケート) 1.2
12 井上 尚弥(ボクシング) 1.2 12 三浦 知良(サッカー) 1.5 桃田 賢斗(バドミントン) 1.2
三浦 知良(サッカー) 1.2 13 池江 璃花子(水泳) 1.4 13 石川 佳純(卓球) 1.0
14 石川 遼(ゴルフ) 1.1 14 久保 建英(サッカー) 1.3 石川 遼(ゴルフ) 1.0
15 八村 塁(バスケットボール) 1.0 15 石川 遼(ゴルフ) 1.2 坂本 勇人(野球) 1.0
16 本田 圭佑(サッカー) 0.9 王 貞治(野球) 1.2 高橋 尚子(陸上競技) 1.0
松山 英樹(ゴルフ) 0.9 松井 秀喜(野球) 1.2 17 本田 圭佑(サッカー) 0.9
マイケル・ジョーダン(バスケットボール) 0.9 18 岡本 和真(野球) 1.1 三浦 知良(サッカー) 0.9
19 石川 祐希(バレーボール) 0.8 19 本田 圭佑(サッカー) 0.9 19 内田 篤人(サッカー) 0.8
松井 秀喜(野球) 0.8 タイガー・ウッズ(ゴルフ) 0.9 木村 沙織(バレーボール) 0.8
桃田 賢斗(バドミントン) 0.8 髙橋 大輔(フィギュアスケート) 0.8

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020

主な調査結果

1.好きなスポーツ選手の年次推移

 表2には、2010 年から2020 年までの好きなスポーツ選手の推移を示した。過去6 回の調査すべてで上位10名に入るのは「イチロー」と「浅田真央」の2名である。
両者はともに引退した選手であるが、安定した人気がある。「イチロー」は過去6回の調査のうち1位を3回獲得し、今回調査でも2 位に入った。
 2018年と比較すると、「イチロー」が3位(7.2%)から順位をひとつ上げた。
新たに10位以内に入った選手は4位の「大坂なおみ」4.9%、7 位の「池江璃花子」2.0%、8 位の「渋野日向子」1.8%、9 位の「坂本勇人」1.6%、10位の「リオネル・メッシ」である。4位の「大坂なおみ」は2020 年全米オープンで2 年ぶりに優勝するとともに、BLM(Black Lives Matter)運動支持の表明で大きな話題となった。7 位の「池江璃花子」は白血病の長期療養を経て、7月には東京オリンピック開催1 年前のイベントでメッセージを発信し、8月にはレースに復帰した。

【表2】好きなスポーツ選手の年次推移 2010~2020年(全体:上位10位まで)
2010年(n=1,570) 2012年(n=1,527) 2014年(n=1,551)
順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名
1 イチロー(野球) 21.1 1 イチロー(野球) 12.5 1 浅田 真央(フィギュアスケート) 17.6
2 浅田 真央(フィギュアスケート) 8.9 2 浅田 真央(フィギュアスケート) 8.8 2 イチロー(野球) 8.8
3 石川 遼(ゴルフ) 8.5 3 石川 遼(ゴルフ) 4.2 3 田中 将大(野球) 4.1
4 松井 秀喜(野球) 3.4 4 香川 真司(サッカー) 3.9 4 羽生 結弦(フィギュアスケート) 3.0
5 長嶋 茂雄(野球) 2.4 5 澤 穂希(サッカー) 3.3 5 本田 圭佑(サッカー) 2.8
6 王 貞治(野球) 1.8 ダルビッシュ 有(野球) 3.3 6 香川 真司(サッカー) 2.5
7 クルム・伊達 公子(テニス) 1.7 7 本田 圭佑(サッカー) 2.6 7 長嶋 茂雄(野球) 2.4
原 辰徳(野球) 1.7 8 長嶋 茂雄(野球) 2.4 8 錦織 圭(テニス) 2.1
9 中村 俊輔(サッカー) 1.5 9 北島 康介(水泳) 2.0 9 髙橋 大輔(フィギュアスケート) 1.9
10 髙橋 大輔(フィギュアスケート) 1.3 10 クルム・伊達 公子(テニス) 1.8 10 長友 佑都(サッカー) 1.8
長谷部 誠(サッカー) 1.8
2016年(n=2,415) 2018年(n=2,337) 2020年(n=2,246)
順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名
1 イチロー(野球) 16.4 1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 10.6 1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 7.8
2 錦織 圭(テニス) 12.8 2 大谷 翔平(野球) 7.7 2 イチロー(野球) 7.5
3 浅田 真央(フィギュアスケート) 6.5 3 イチロー(野球) 7.2 3 大谷 翔平(野球) 5.1
4 羽生 結弦(フィギュアスケート) 4.6 4 錦織 圭(テニス) 7.1 4 大坂 なおみ(テニス) 4.9
5 木村 沙織(バレーボール) 2.9 5 浅田 真央(フィギュアスケート) 3.7 5 浅田 真央(フィギュアスケート) 4.2
6 長嶋 茂雄(野球) 2.0 6 本田 圭佑(サッカー) 2.7 6 錦織 圭(テニス) 4.0
7 大谷 翔平(野球) 1.9 7 長嶋 茂雄(野球) 2.4 7 池江 璃花子(水泳) 2.0
8 白鵬(相撲) 1.3 8 長谷部 誠(サッカー) 1.7 8 渋野 日向子(ゴルフ) 1.8
9 五郎丸 歩(ラグビー) 1.2 松山 英樹(ゴルフ) 1.7 9 坂本 勇人(野球) 1.6
本田 圭佑(サッカー) 1.2 10 内村 航平(体操競技) 1.5 10 リオネル・メッシ(サッカー) 1.4

注)2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を対象としている

資料:「スポーツライフに関する調査」2020

2.好きなスポーツ選手(年代別)

表3には年代別の結果を示した。全体で1位の「羽生結弦」は、18・19 歳および50 歳代から70 歳以上で1 位になり、2 位の「イチロー」は20 歳代から40 歳代で1位にあげられた。18・19歳は「大谷翔平」「本田圭佑」も同率の1 位であった。2 位と3 位についてみると、20歳代と30歳代は「羽生結弦」「浅田真央」、40歳代は「羽生結弦」「大坂なおみ」、50歳代は「イチロー」「大谷翔平」「錦織圭」、60 歳代は「大谷翔平」「イチロー」、70 歳以上は「大坂なおみ」「浅田真央」がそれぞれあげられた。
 また、18・19 歳では「ネイマール」、20 歳代と40 歳代では「リオネル・メッシ」、30歳代では「クリスティアーノ・ ロナウド」と、海外のサッカー選手の名前があがった。
60 歳代と70 歳以上では「長嶋茂雄」が入り、根強い人気がうかがえる。いずれの年代でも10 位以内に入るのは「羽生結弦」「大谷翔平」「浅田真央」の3名であった。

【表3】好きなスポーツ選手(年代別)
18歳・19歳(n=56) 20歳代(n=272) 30歳代(n=322) 40歳代(n=453)
順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名
1 大谷 翔平(野球) 7.1 1 イチロー(野球) 7.4 1 イチロー(野球) 9.6 1 イチロー(野球) 9.9
羽生 結弦(フィギュアスケート) 7.1 2 羽生 結弦(フィギュアスケート) 5.5 2 浅田 真央(フィギュアスケート) 5.3 2 羽生 結弦(フィギュアスケート) 6.2
本田 圭佑(サッカー) 7.1 3 浅田 真央(フィギュアスケート) 4.8 3 羽生 結弦(フィギュアスケート) 4.7 3 大坂 なおみ(テニス) 5.5
4 坂本 勇人(野球) 5.4 4 大谷 翔平(野球) 4.0 4 大谷 翔平(野球) 4.0 4 大谷 翔平(野球) 5.1
5 宇野 昌磨(フィギュアスケート) 3.6 5 錦織 圭(テニス) 3.7 大坂 なおみ(テニス) 4.0 5 錦織 圭(テニス) 4.2
久保 建英(サッカー) 3.6 6 池江 璃花子(水泳) 2.6 6 リオネル・メッシ(サッカー) 2.8 6 浅田 真央(フィギュアスケート) 3.1
福岡 堅樹(ラグビー) 3.6 7 石川 祐希(バレーボール) 2.2 7 錦織 圭(テニス) 1.9 7 池江 璃花子(水泳) 2.9
ネイマール(サッカー) 3.6 本田 圭佑(サッカー) 2.2 三浦 知良(サッカー) 1.9 8 八村 塁(バスケットボール) 2.0
9 浅田 真央(フィギュアスケート) 1.8 大坂 なおみ(テニス) 2.2 クリスティアーノ・ロナウド(サッカー) 1.9 リオネル・メッシ(サッカー) 2.0
石川 祐希(バレーボール) 1.8 10 坂本 勇人(野球) 1.8 マイケル・ジョーダン(バスケットボール) 1.9 10 三浦 知良(サッカー) 1.8
同率選手他30名 桃田 賢斗(バドミントン) 1.8 マイケル・ジョーダン(バスケットボール) 1.8
リオネル・メッシ(サッカー) 1.8
50歳代(n=412) 60歳代(n=379) 70歳以上(n=352)
順位 選手名 順位 選手名 順位 選手名
1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 10.2 1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 10.0 1 羽生 結弦(フィギュアスケート) 9.7
2 イチロー(野球) 7.0 2 大谷 翔平(野球) 7.7 2 大坂 なおみ(テニス) 9.1
3 大谷 翔平(野球) 4.9 3 イチロー(野球) 7.4 3 浅田 真央(フィギュアスケート) 5.7
錦織 圭(テニス) 4.9 4 錦織 圭(テニス) 5.0 4 イチロー(野球) 4.3
5 大坂 なおみ(テニス) 4.4 5 浅田 真央(フィギュアスケート) 4.7 大谷 翔平(野球) 4.3
6 浅田 真央(フィギュアスケート) 2.9 6 大坂 なおみ(テニス) 4.0 錦織 圭(テニス) 4.3
渋野 日向子(ゴルフ) 2.9 7 長嶋 茂雄(野球) 3.2 渋野 日向子(ゴルフ) 4.3
8 池江 璃花子(水泳) 2.4 8 松山 英樹(ゴルフ) 2.9 8 長嶋 茂雄(野球) 3.7
9 三浦 知良(サッカー) 2.2 9 石川 遼(ゴルフ) 2.1 9 坂本 勇人(野球) 3.4
10 松井 秀喜(野球) 1.9 坂本 勇人(野球) 2.1 10 石川 遼(ゴルフ) 2.8
池江 璃花子(水泳) 2.1
渋野 日向子(ゴルフ) 2.1

資料:「スポーツライフに関する調査」2020

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ファンが現地で直接観戦できる機会が少ない時期の調査であったが、好きな選手には合計489名の名前があげられた。

 なかでも大坂なおみ(テニス)は全体の4位、女子では2位と、初の上位となった。大坂なおみは2020年全米オープンで2年ぶりに優勝し、BLM(Black Lives Matter)運動支持の表明でも大きな話題となった。高い競技力や世界での活躍に加えて、記者会見やSNSで発信されるメッセージにも注目が集まっている。

 羽生結弦(フィギュアスケート)は前回2018年調査に続いての1位となった。すべての年代で3位以内に入り、幅広い支持を集めている。また、2位のイチロー(野球)は2019年に引退したものの今回も2位となり、2010年から6回の調査すべてで3位以内にランクインした。上位には調査時に活躍する選手に加え、長く根強い人気を誇る選手が含まれるのが特徴である。

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 宮本 幸子


スポーツライフに関する調査2020 概要

調査対象
全国の市区町村に在住する18歳以上の男女3,000人
調査方法
訪問留置法による質問紙調査
地点数
全国300地点
調査時期
2020年8月28日~9月23日
サンプリング
割当法
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2020年度

担当研究者