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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

セミナー「子供のスポーツ」

スポーツライフ・データ 2022

コロナ禍を経験した「スポーツライフ」の現状と今後
前回調査から運動・スポーツ実施率は横ばい、観戦スタイルなどに変化。
IT×スポーツの価値も。
スポーツライフ・データ2022

笹川スポーツ財団は、1992 年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を実施しており、今回で30周年を迎えます。全国の成人を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみた SSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、スポーツ観戦率や好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
このたび、最新の調査結果を報告書としてまとめた「スポーツライフ・データ 2022」(調査期間:2022年6月10日~7月10日)を、2023年3月24日に刊行いたしました(Amazonブックストアなどで発売中)。新型コロナウイルス感染症は、スポーツを「する」「みる」「ささえる」にどのような影響を及ぼしたのか。実態のデータに加え、ITを活用した新しいスポーツの価値などに関する調査結果を掲載しております。

 今回の調査は2022年6~7月に実施された。コロナ禍の行動制限がある程度解除された時期ではあるが、調査には1年間を振り返って回答する質問が多く、新型コロナの流行や同時期の社会変化を反映した結果となった。

 「する」スポーツの代表的指標である運動・スポーツ実施率については、全体では大きな変動はみられなかった。身近な場所でひとりでも実施できるエクササイズ系種目(散歩、筋トレ等)の人気が高く、行動制限がある中でも多くの人が可能な方法で運動・スポーツをしていた様子がうかがえる。一方で、体育館やグラウンドといった施設の利用は減少し、スポーツクラブ加入率も過去最低水準を記録した。また、「みる」スポーツでも直接観戦率は減少、「ささえる」スポーツでもボランティア実施率が過去最も低い水準となった。調査後のサッカーW杯やWBCの盛り上がりにみられるように、おそらく「みる」スポーツを中心に、ポスト・コロナで元の水準に戻る数値も多いだろう。対して皆で集まり、ささえあい、楽しむスポーツの衰勢については、以前からのトレンドがコロナ禍で加速した様相もあり、今後の動向についても注視が必要である。

 スポーツライフの質の充実に向けて、地域のクラブ・施設・イベントをどのように活性化するか、政策や自治体の施策に加えてITやテクノロジーの活用など、さまざまな工夫が求められる。

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策ディレクター 宮本幸子


【主な調査結果 詳細】

■「する」スポーツ

運動・スポーツ実施率の年次推移

・年1回以上の運動・スポーツ実施率

1992年には50. 9%と半数をわずかに超える程度であったが、2000年には70. 7%に上昇した。その後、2006年までは60%台から70%台の範囲を行き来し、2008年以降は70%台での横ばい状態が続いている。今回の2022年調査では72. 9%となり、前回調査から0. 4ポイント減少したが、年1回以上の運動・スポーツ実施率の大きな変化はみられない。

・週1回以上の運動・スポーツ実施率

1992年の23. 7%から漸増を続けていたが、2012年の59. 1%から2016年まではわずかに減少傾向へと転じ、定常状態となっていた。2018年に再び上昇し、2020年には過去最高の59. 5%となったが、今回の2022年調査では58. 5%となり、前回調査を1. 0ポイント下回った。

・週2回以上の運動・スポーツ実施率

1992年の16. 1%から漸次増加を続け、2000年には40%台に達した。2008年以降は40%台後半で推移する。今回の2022年調査では49. 1%となり、前回調査を0. 8ポイント下回った。

・アクティブ・スポーツ人口

週2回以上、実施時間1回30分以上、運動強度「ややきつい」以上という3つの条件をクリアしている運動・スポーツ実施者を「アクティブ・スポーツ人口」と定義し、その割合を追跡している。2014年以降はゆるやかな増加傾向が続いていたものの、2022年調査の割合は20. 2%で、前回調査を1. 9ポイント下回った。

 

年1回以上の種目別運動・スポーツ実施率(年代別)

18・19歳は「筋力トレーニング」、20歳代から40歳代、60歳代は「散歩(ぶらぶら歩き)」、50歳代と70歳以上では「ウォーキング」が1位であった。これらの種目以外に、「ジョギング・ランニング」「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」もすべての年代において上位15種目に入る。「ジョギング・ランニング」は、40歳代以下では上位5位以内に入るが、50歳代以降では順位が低くなる。

2020年調査との比較

18・19歳で「散歩(ぶらぶら歩き)」が33. 3%から21. 3%へ、「ウォーキング」が20. 8%から14. 7%へ、20歳代では「筋力トレーニング」が29.7%から23.3%へ、30歳代では「筋力トレーニング」が23. 1%から17. 6%へと、それぞれ減少した。これらの実施率は2018年から2020年にかけて増加し、その後2022年調査において減少した点で共通している。2020年には若年層において、コロナ禍でも特定の施設を必要とせず一人で行える種目の実施率が大きく増加したが、2022年はその傾向が落ち着き、2018年と同程度に戻っている。

【図表2】週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率(年代別:複数回答)
18・19歳(n=75) 20歳代(n=374) 30歳代(n=437) 40歳代(n=582)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
1 筋力トレーニング 36.0 1 散歩(ぶらぶら歩き) 26.7 1 散歩(ぶらぶら歩き) 34.1 1 散歩(ぶらぶら歩き) 32.1
2 ジョギング・ランニング 24.0 2 筋力トレーニング 23.3 2 ウォーキング 20.1 2 ウォーキング 30.2
3 散歩(ぶらぶら歩き) 21.3 3 ウォーキング 20.9 3 筋力トレーニング 17.6 3 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 17.2
4 サッカー 20.0 4 ボウリング 12.6 4 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 12.6 4 筋力トレーニング 15.8
バスケットボール 20.0 5 ジョギング・ランニング 12.3 5 ジョギング・ランニング 9.8 5 ジョギング・ランニング 12.5
ボウリング 20.0 6 バドミントン 9.6 釣り 9.8 6 釣り 10.0
7 ウォーキング 14.7 7 バスケットボール 9.1 7 キャンプ 7.6 7 サイクリング 9.3
8 キャッチボール 10.7 8 サイクリング 7.8 なわとび 7.6 バドミントン 9.3
バドミントン 10.7 9 キャッチボール 7.5 9 キャッチボール 6.4 9 キャンプ 8.1
バレーボール 10.7 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 7.5 サイクリング 6.4 10 ゴルフ(コース) 7.6
野球 10.7 11 サッカー 7.2 11 ゴルフ(コース) 6.2 11 登山 7.4
12 水泳 8.0 スノーボード 7.2 12 海水浴 5.9 12 なわとび 7.2
卓球 8.0 バレーボール 7.2 ゴルフ(練習場) 5.9 13 水泳 6.9
フットサル 8.0 野球 7.2 14 サッカー 5.7 14 キャッチボール 6.5
15 キャンプ 6.7 15 卓球 6.4 15 水泳 5.5 ゴルフ(練習場) 6.5
体操(軽い体操、ラジオ体操など) 6.7 ボウリング 5.5
50歳代(n=529) 60歳代(n=489) 70歳以上(n=514)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
1 ウォーキング 29.3 1 散歩(ぶらぶら歩き) 35.2 1 ウォーキング 39.5
2 散歩(ぶらぶら歩き) 28.7 2 ウォーキング 35.0 2 散歩(ぶらぶら歩き) 34.8
3 筋力トレーニング 16.8 3 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 21.7 3 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 28.6
4 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 15.3 4 筋力トレーニング 13.3 4 筋力トレーニング 10.7
5 釣り 8.3 5 ゴルフ(コース) 9.8 5 ゴルフ(コース) 7.8
6 サイクリング 7.6 6 ゴルフ(練習場) 7.8 6 ゴルフ(練習場) 7.0
ジョギング・ランニング 7.6 7 サイクリング 6.7 7 グラウンドゴルフ 5.3
8 ヨーガ 7.0 8 釣り 6.3 8 卓球 4.9
9 ゴルフ(コース) 6.2 9 登山 5.5 9 ハイキング 4.5
10 ゴルフ(練習場) 5.5 10 ジョギング・ランニング 5.3 10 サイクリング 4.1
11 登山 5.3 11 ヨーガ 4.9 水泳 4.1
12 キャンプ 4.2 12 なわとび 4.5 12 ジョギング・ランニング 3.9
13 ハイキング 3.8 13 水泳 4.3 13 登山 3.7
14 スキー 3.6 14 ハイキング 4.1 14 ヨーガ 3.5
15 水泳 3.4 15 キャンプ 2.9 15 釣り 3.1
バドミントン 3.4

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2022

運動・スポーツの実施場所・利用施設の年次推移

過去1年間に「よく行った」(実施頻度の高い)運動・スポーツ種目の実施場所・利用施設の年次推移を示した。2018年調査以降は「道路」の利用率が最も高く、2018年の50. 3%から2020年の57. 3%へと7. 0ポイント増加した。2022年は56. 9%で前回調査と同程度であった。2位は「自宅(庭・室内等)」で、2018年の23. 9%から2020年の32. 9%へと9. 0ポイント増加し、2022年では31. 3%となった。2018年と2020年の3位は「体育館」であったが、201820. 0%、202017. 1%、202213. 3%と徐々に減少し、2022年は「公園」に抜かれ、4位となった。新型コロナウイルス感染症の拡大による運動・スポーツ施設の利用制限が続き、2020年に増加した自宅および自宅周辺の公共空間の高い利用率が継続していると考えられる。

【図表3】運動・スポーツの実施場所・利用施設の年次推移(全体:複数回答)
2018年(n=2,219) 2020年(n=2,200) 2022年(n=2,188)
順位 実施場所・利用施設 利用率
(%)
順位 実施場所・利用施設 利用率
(%)
順位 実施場所・利用施設 利用率
(%)
1 道路 50.3 1 道路 57.3 1 道路 56.9
2 自宅(庭・室内等) 23.9 2 自宅(庭・室内等) 32.9 2 自宅(庭・室内等) 31.3
3 体育館 20.0 3 体育館 17.1 3 公園 17.0
4 公園 16.9 4 公園 16.0 4 体育館 13.3
5 海・海岸 11.9 5 海・海岸 12.9 5 高原・山 11.4
6 ボウリング場 10.5 6 高原・山 11.1 6 海・海岸 10.4
7 ゴルフ場(コース) 10.4 7 トレーニングルーム 9.6 7 ゴルフ場(コース) 8.8
8 高原・山 10.1 8 ゴルフ場(コース) 8.6 8 トレーニングルーム 8.7
9 グラウンド 10.0 9 グラウンド 7.2 9 ゴルフ場(練習場) 7.2
10 トレーニングルーム 9.6 ゴルフ場(練習場) 7.2 10 河川敷 6.0
11 ゴルフ場(練習場) 7.8 河川敷 7.2 11 ボウリング場 5.9
12 屋内プール 7.4 12 ボウリング場 6.6 12 グラウンド 5.8
13 河川敷 6.4 13 屋内プール 6.1 13 屋内プール 5.6
14 スキー場 5.5 14 野球場・ソフトボール場 4.0 14 テニスコート 3.9
野球場・ソフトボール場 5.5 15 テニスコート 3.6 15 スキー場 3.6
16 テニスコート 3.7 16 スキー場 3.1 16 野球場・ソフトボール場 3.1
17 職場・勤務先 3.2 17 ダンススタジオ 2.2 17 ダンススタジオ 2.2
18 ダンススタジオ 2.2 18 職場・勤務先 1.7 18 陸上競技場 1.9
19 コミュニティセンター・公民館 1.7 19 コミュニティセンター・公民館 1.5 コミュニティセンター・公民館 1.9
20 屋内プール 1.6 20 陸上競技場 1.3 職場・勤務先 1.9
陸上競技場 1.6

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2022

スポーツクラブ・同好会・チームへの加入状況

スポーツクラブや同好会・チーム(以下、スポーツクラブ)への加入状況をたずねた。調査を開始した1992年の加入率は19. 7%で、1994年の16. 9%に減少した後、2000年22. 0%まで上昇が続く。その後、2006年18. 4%まで再び下降するが、全体的には横ばい状態にある。2014年20. 0%を起点に、2016年18. 1%、2018年18. 5%、2020年17. 3%と再び下降の推移をみせ、今回の2022年調査では16. 6%と調査開始以降最も低い水準となった。

性別にみると、1992年は男性24. 2%、女性15. 6%と8. 6ポイントの差があったが、今回の2022年調査では男性16. 9%、女性16. 2%となり、加入率の男女差はほとんどない。

 

■「みる」スポーツ

直接スポーツ観戦率

過去1年間にスタジアムや体育館等で直接スポーツを観戦した者の割合(直接スポーツ観戦率)は、2022年は19. 3%であり、前回2020年の21. 8%から2. 5ポイント減少し、1994年以降で最低となった。

また、今回の結果から、過去1年間のわが国における直接スポーツ観戦人口は2, 035万人と推計された。2020年の調査時には、設問でたずねている「過去1年間」には、新型コロナウイルス感染拡大前の時期が半年ほど含まれていた。それに対して2022年調査の対象となる期間は、「過去1年間」を通してコロナ禍にあった。そのため、直接観戦の機会がより限られていたと推察される。

 

インターネット観戦率

インターネットによるスポーツ観戦率の年次推移を示した。2022年のインターネットスポーツ観戦率は全体の21. 4%で、前回2020年の13. 9%から7. 5ポイント増加した。今回の結果から、過去1年間のわが国におけるインターネットスポーツ観戦人口は、2, 257万人と推計された。

 

過去1年間にインターネット観戦した上位5種目を示した。1位は「格闘技(ボクシング、総合格闘技など)」6. 7%で、2位以降は「プロ野球(NPB)」5. 6%、「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」4. 7%、「海外プロサッカー(欧州、南米など)」「サッカー日本代表試合(五輪代表・なでしこジャパン含む)」が同率で3. 4%であった。18歳以上人口を乗じて推計観戦人口を算出すると、1位の「格闘技(ボクシング、総合格闘技など)」は707万人であった。

2020年と比較すると、男性では「格闘技(ボクシング、総合格闘技など)」が4. 8%から11. 0%へと、「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」が3. 4%から8. 2%へと増加した。

【図表7】インターネットによる種目別スポーツ観戦率および推計観戦人口(全体・性別:複数回答)
全体(n=3,000) 男性(n=1,503) 女性(n=1,497)
順位 観戦種目 観戦率(%)
推計観戦人口
(万人)
順位 観戦種目 観戦率(%) 順位 観戦種目 観戦率(%)
1 格闘技(ボクシング、総合格闘技など) 6.7 707 1 格闘技(ボクシング、総合格闘技など) 11.0 1 格闘技(ボクシング、総合格闘技など) 2.4
2 プロ野球(NPB) 5.6 591 2 プロ野球(NPB) 9.0 2 プロ野球(NPB) 2.1
3 メジャーリーグ(アメリカ大リーグ) 4.7 496 3 メジャーリーグ(アメリカ大リーグ) 8.2 3 フィギュアスケート 1.6
4 海外プロサッカー(欧州、南米など) 3.4 359 4 海外プロサッカー(欧州、南米など) 6.0 4 メジャーリーグ(アメリカ大リーグ) 1.2
サッカー日本代表試合(五輪代表・なでしこジャパン含む) 3.4 359 5 サッカー日本代表試合(五輪代表・なでしこジャパン含む) 5.7 サッカー日本代表試合(五輪代表・なでしこジャパン含む) 1.2
6 Jリーグ(J1、J2、J3) 2.9 306 6 Jリーグ(J1、J2、J3) 4.9 6 Jリーグ(J1、J2、J3) 0.9
7 プロゴルフ 2.0 211 7 プロゴルフ 3.5 バレーボール(高校、大学、Vリーグ、日本代表など) 0.9
8 海外プロバスケットボール(NBAなど) 1.7 179 8 F1やNASCARなど自動車レース 2.9 8 海外プロサッカー(欧州、南米など) 0.8
9 高校野球 1.6 169 9 高校野球 2.8 9 プロバスケットボール(Bリーグ) 0.7
F1やNASCARなど自動車レース 1.6 169 海外プロバスケットボール(NBAなど) 2.8 卓球 0.7
11 プロバスケットボール(Bリーグ) 1.4 148 11 eスポーツ 2.3 バドミントン 0.7
eスポーツ 1.4 148 12 プロバスケットボール(Bリーグ) 2.1 プロテニス 0.7
13 プロテニス 1.3 137 13 プロテニス 1.9 13 サッカー(高校、大学、JFL、WEリーグなど) 0.5
14 卓球 1.2 127 14 卓球 1.8 海外プロバスケットボール(NBAなど) 0.5
フィギュアスケート 1.2 127 15 サッカー(高校、大学、JFL、WEリーグなど) 1.7 バスケットボール(高校、大学、Wリーグなど) 0.5
  インターネットで観戦した種目はない 77.7     インターネットで観戦した種目はない 67.9 ラグビー(高校、大学、リーグワンなど) 0.5
プロゴルフ 0.5
eスポーツ 0.5
  インターネットで観戦した種目はない 87.4

注)2022年の推計観戦人口:18歳以上人口(20歳以上は2021年1月1日時点の住民基本台帳人口、18・19歳は同時点の住民基本台帳人口のうち、15~19歳の人口に2020年の国勢調査から得られた18歳および19歳の人口割合を乗じて得られた推計値を利用した)の105,448,713人に観戦率を乗じて算出。

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2022

■「ささえる」スポーツ

スポーツボランティアの実施率

過去1年間にスポーツボランティアを行った者の割合を示した。2022年調査におけるスポーツボランティア実施率は4. 2%で、2020年の5. 3%から1. 1ポイント減少し、スポーツボランティア実施状況の調査を始めた1994年以降、最も低い実施率となった。新型コロナウイルス感染症の流行によるスポーツボランティアの活動機会の減少が、実施率の低下をもたらしたと予想される。

 

■「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画の実態

高峰 修(SSFスポーツライフ調査委員会 委員長/明治大学 政治経済学部 教授)

「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画の構成比をみる。国民のスポーツ参画は「する」側面に偏っており、同時に「ささえる」参画が弱くかつ減少傾向にあるため、極端に偏った状態にある。そして「する」「みる」「ささえる」すべてのスポーツ参画にかかわる人がわずか2. 1%でしかないこと、すべてのスポーツ参画にかかわらない人が35. 6%を占めることを、まずは認識する必要がある。その上で、政策としての「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画を促進していかなければならない。

【図表9】 2022年時点の「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画の構成

注) 松尾(2012), p52に加筆修正。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2022

■ ITやテクノロジーの活用と運動・スポーツ実施

横田 匡俊(SSFスポーツライフ調査委員会 委員/日本体育大学 スポーツマネジメント学部 教授)

運動・スポーツ実施者の、コロナ禍前と比べた運動・スポーツの実施頻度の変化を、使用したアプリ・ゲーム等の種類別にみる。運動・スポーツ実施者全体では、コロナ禍前と比べ「増えた」が14.8%、「変わらない」が48.2%、「減った」が35.2%であった。

運動・スポーツ実施者全体で、コロナ禍前と比べ「増えた」が14.8%であるが、アプリやインターネットを使用している人では、「増えた」が、「健康・ヘルスケアデータの管理用アプリ」使用者25.3%、「ウェアラブル端末」24.9%、「インターネット上の無料動画」22.4%、「トレーニング・運動の記録用アプリ」使用者では21.3%となっている。ITやテクノロジーを活用している人は、活用していない人と比較して「増えた」が10ポイント程度高い。「減った」と回答した割合に、大きな差はなかった。

今回の結果から因果関係にまで言及することはできないが、ITやテクノロジーの活用によって、運動やスポーツの実施頻度を増加させる可能性が示唆されたといえるだろう。

【図表10】コロナ前と比べた運動・スポーツ・身体活動の実施頻度の変化
(使用したアプリ・ゲーム等の種類別)
  増えた 変わらない 減った わからない
全体 2,188 14.8% 48.2% 35.2% 1.7%
トレーニング・運動の記録用アプリ 136 21.3% 39.7% 38.2% 0.7%
健康・ヘルスケアデータの管理用アプリ 367 25.3% 39.5% 34.1% 1.1%
オンライン上の交流を伴う参加型のアプリ 13 15.4% 46.2% 38.5% 0.0%
スポーツ団体の管理用のアプリ 9 11.1% 22.2% 66.7% 0.0%
ウェアラブル端末 173 24.9% 38.7% 33.5% 2.9%
ゲーム(身体活動を伴うもの) 208 18.8% 40.9% 39.4% 1.0%
インターネット上の無料動画 539 22.4% 39.0% 36.7% 1.9%
インターネット上の有料動画 17 41.2% 41.2% 17.6% 0.0%
自治体の健康ポイント事業 39 20.5% 43.6% 35.9% 0.0%
特になし 1,273 10.5% 52.3% 35.4% 1.7%

注1)使用したアプリ・ゲーム等は複数回答。
注2)グレイの網掛けはサンプル数が少ないため参考値として扱う。

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2022

「スポーツライフ・データ2022」調査概要

調査内容
運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他
調査対象
全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,503人、女性1,497人)
地点数
300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)
調査時期
2022年6月10日~7月10日

『スポーツライフ・データ2022』

仕様
A4判/204ページ
価格
定価 3,300円(本体 3,000円+税 10%)
発売
2023年3月24日

SSFスポーツライフ調査委員会

委員長
高峰 修(明治大学 政治経済学部 教授)
委員
青野 博(公益財団法人 日本スポーツ協会 スポーツ科学研究室 室長代理)
大勝 志津穂(愛知東邦大学 人間健康学部 教授)
甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 上席研究員)
鎌田 真光(東京大学大学院 医学系研究科 講師)
佐々木 玲子(慶應義塾大学 体育研究所 教授)
澤井 和彦(明治大学 商学部 准教授)
野井 真吾(日本体育大学 体育学部 教授)
横田 匡俊(日本体育大学 スポーツマネジメント学部 准教授)
吉田 智彦(公益財団法人 笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策ディレクター)
(所属・肩書は刊行時)
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2022年度

担当研究者