笹川スポーツ財団と明治安田厚生事業団は、共同研究「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」を実施しました。
私たちはどれくらい身体を動かし、どれくらい座っているのでしょうか。これまで全国規模で客観的に把握されてきた身体活動指標は歩数が中心で、実際に国民がどの程度身体を動かしているのかは十分に明らかになっていませんでした。そこで本調査では、身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間を詳細に測定できる「活動量計」を用い、身体活動の実態を客観的に把握しました。
2024年度・2025年度に全国47都道府県を対象に調査を実施し、2,459名(2024年度1,105名、2025年度1,354名)の活動量計データをもとに、身体活動量の全国代表値を国内で初めて提示しました。厚生労働省は成人(20~64歳)に1日60分以上の中高強度身体活動を推奨していますが、今回の調査の結果、成人の中高強度身体活動時間の中央値は1日56.2分でした。また、運動・スポーツ実施者でも43.3%が厚労省の推奨身体活動量を満たしていないという実態が明らかになりました。
※身体活動とは
「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての活動」を指し、仕事、家事、移動、運動・スポーツを含む。通常歩行や庭仕事、水泳などの活動が中高強度身体活動に、それより低い強度のストレッチや皿洗いなどが低強度身体活動に分類される。
主な調査結果
1日あたりの身体活動時間・歩数・座位行動時間(全体、成人・高齢者別、成人・高齢者×性別)
解析対象者における1日あたりの低強度身体活動(LPA)時間、中高強度身体活動(MVPA)時間、座位行動時間、歩数の中央値を示した。
成人(20~64歳)では、LPA時間333.2分、MVPA時間56.2分であった。男女別にみると、LPA時間は男性297.4分、女性376.4分と、女性が約80分長かった。一方、MVPA時間は男性56.6分、女性55.7分とほぼ同等であった。座位行動時間は男性が540.5分、女性は523.9分、歩数は男性が7,317歩、女性が6,619歩で、いずれも男性が上回った。
高齢者(65歳以上)でも同様に、LPA時間は男性294.2分、女性381.5分と、女性が約90分長かった一方、MVPA時間は男女とも約43分であった。座位行動時間は男性537.5分、女性490.8分、歩数は男性5,719歩、女性5,163歩で、いずれも男性が上回った。
図表1. 1日あたりの各行動の中央値(全体、成人・高齢者別、成人・高齢者×性別)
※中央値と平均値について
〈中央値〉とは、すべてのデータの数値を小さいほうから順に並べた際、中央にあるデータの値。〈平均値〉とは、すべてのデータの値を足し合わせた合計をデータの個数で割った値。今回は、他と比べて極端に小さな値、または極端に大きな値(外れ値)の影響を受けにくい、中央値を使用して結果を示した。
1日あたりの身体活動時間・歩数・座位行動時間(性別×年代別)
年代別にみると、低強度身体活動時間はすべての年代で女性が男性より長かった。中高強度身体活動時間は、男女ともに20~60歳代では50分台であったが、70歳代では40分未満と短かった。座位行動時間は男女ともに20歳代が最も長く、約560分(9.3時間)で、すべての年代で男性が女性より長かった。
表2. 1日あたりの各行動の中央値(性別×年代別)
厚労省の推奨身体活動量の達成率
厚労省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、中高強度身体活動を、成人では1日60 分以上、高齢者では1 日40 分以上行うことを推奨している。
- 成人(20~64歳):1日60分以上(1日約8,000歩以上、週23メッツ・時以上に相当)
- 高齢者(65歳以上):1日40分以上(1日約6,000歩以上、週15メッツ・時以上に相当)
本調査における1日あたりの推奨身体活動量を満たす者の割合(達成率)は全体で47.7%であった。成人・高齢者別では、成人45.1%、高齢者55.0%で、高齢者が成人より9.9ポイント高かった。さらに男女別にみると、成人男性46.0%、成人女性44.1%、高齢者男性53.3%、高齢者女性56.6%であった。成人では男性、高齢者では女性の達成率がやや高かったものの、男女差はいずれも小さかった。
図表3. 1日の推奨身体活動量の達成率(全体、成人・高齢者別、成人・高齢者×性別)
運動・スポーツ実施の有無による身体活動状況
活動量計装着中の運動・スポーツ実施の有無による1日あたりの身体活動状況をみる。推奨量の達成率は、全体では運動・スポーツ実施者58.6%、非実施者40.2%で、実施者が18.4ポイント高かった。成人でも推奨量の達成率は実施者56.7%、非実施者38.4%と実施者で高かったものの、運動・スポーツ実施者の43.3%は推奨量を満たしていなかった。
居住周辺環境・自動車なしで生活することが難しい地域における身体活動状況
居住周辺環境について、「自動車なしで生活することが難しい地域か」による身体活動状況をみる。推奨量の達成率は、全体では自動車なしで生活することが難しい地域(あてはまる群)44.3%、難しくない地域(あてはまらない群)52.4%で、難しい地域では達成率が8.1ポイント低かった。特に成人では、難しい地域の達成率は41.6%にとどまった。
活動量計
本調査では、三軸加速度センサーを搭載した活動量計を使用し、身体活動を客観的に測定した。腰に装着することで、身体活動データを10秒ごとに記録し、身体活動量や歩数を測定できる。